2009年邦人犯罪被害概況


 

2009年中のメキシコにおける邦人の方の犯罪被害発生状況をまとめました。被害一覧表と合わせ、メキシコ滞在中における安全対策の参考としてください。

 

1.一般治安の現状
メキシコにおいては、カルデロン大統領の就任以降、麻薬等犯罪組織の取締りに力を入れる治安当局(警察・軍)と、これに抗する犯罪組織との衝突・報復、また犯罪組織間の抗争等により、国内治安が悪化している。


報道によれば09年の麻薬組織関係の殺人被害者は7,724人にも上り、特に、チワワ州フアレス市では、このうちの2,500件以上が発生しており、北部国境地帯の治安の悪化が顕著であるが、同種殺人事件が発生しなかった州はユカタン州のみであり、メキシコ全土において麻薬組織の衝突に民間人が巻き添えになる可能性が危惧される。


また、メキシコ市における一般犯罪の認知も、総数188,297件(前年比+15,576件)と増加しており、凶悪な故意殺人747件(同+34件)、強姦1,344件(同+74件)も増加、強盗・窃盗も97,825件(同+4,941件)と増加しており、一般治安も悪化の傾向が見られる。(誘拐85件(同-54件)は減少)

 

2.2009年の邦人被害の特徴 ~被害総数は減少するも凶悪化・地方拡散の傾向~
(1)09年には、前年発生(届出)のなかった企業関係者に対する恐喝事件が3件発生した。

強盗事件は7件発生し、うちピストル等の凶器使用の被害は5件であった。

 

(2)07年後半から顕著となった邦人犯罪被害の地方拡散傾向がさらに進んだ。メキシコ全体での邦人被害のうち、メキシコ市以外での被害が全体の被害に占める割合が、08年55%から09年は62.3%と上昇し、引き続き犯罪被害の地方拡散傾向が認められる。


(3)被害総数は53件であり、前年比-20件であった。特に4月~6月期の減少(前年比-11件)が著しく、本減少は、同時期に発生した新型インフルエンザの影響により、外出を控えたり、日本への一時待避により、犯罪被害に遭遇する機会が減少したものと思料される。


(4)届出のあった被害(ひったくり)のうち、被疑者が検挙された事件が1件あったが、窃盗罪での起訴事実は無罪(証拠不十分)とされ(別件の銃砲所持で連邦犯罪管轄で審理)、国連等からも問題視されているメキシコにおける犯罪の加罰化が一向に進んでいないことも、治安悪化の歯止めがかからない要因と思料される。

 

3.邦人犯罪被害の傾向
(1)邦人被害届出件数
53件(前年比-20件)
2008年  75件
2007年  83件
2006年  68件
2005年  92件
2004年以前は、メキシコ市の空港・地下鉄等で邦人被害が多数発生し、例年100件を超える邦人被害が確認されていたが、2005年以降は、概ね減少傾向にある。


なお、本集計は、当館に届出があった件数であり、被害の届出が行われない潜在的被害も多数存在すると思われ、実際の被害件数はこれよりも多いものと思われる。


(2)発生場所(地域)の傾向
① 州別発生状況
メキシコのなかでも一般治安が悪いとされるメキシコ市では、年間被害件数20件(前年比-14件)と、被害減少傾向は続いている。


しかし、この減少は、一般治安の改善によるものではなく、在留邦人の防犯意識の高揚によるところが大きいと思われる。現に、メキシコ市の犯罪認知件数は増加しており、また、これまで比較的安全な地区と言われてきたポランコ、デル・バジェ等の地区でも、邦人の強盗・窃盗被害が発生している。


一方で、2007年後半から、メキシコ市以外の地方都市での邦人被害が急激に増加し、09年は、年間で33件と、メキシコ市における邦人被害総数を上回った。


メキシコ市以外の州では、14の州にわたり被害が発生している。


州ごとの発生状況は次のとおり
メキシコ市       20件(前年比-14件、被害全体の37.7%)
ヌエボ・レオン州     8件(同  +6件)
メキシコ州         3件(同  +3件)
ハリスコ州         3件(同  -4件)
ケレタロ州         3件(同  +3件)
グアナフアト州      3件(同  +1件)
サン・ルイス・ポトシ州  2件(同  +2件)
キンタナ・ロー州     2件(同  -4件)


以下、ゲレロ州、オアハカ州、ベラクルス州、チアパス州、バハ・カリフォルニア州、アグアスカリエンテス州、ドゥランゴ州各1件
チワワ州~グアナフアト州間長距離バス移動中 1件
バハ・カリフォルニア州~ハリスコ州間長距離バス移動中 1件

  1. 場所形態別発生状況

被害場所の形態別では、窃盗被害のうち置き引きや車上狙いがその多くを占めることから路上・駐車場等屋外での発生が最多となった。


その他は、レストラン、バーにおける飲食店での被害が増加し、空港での被害も増加、地下鉄内、自宅での被害は減少した。


被害場所形態ごとの発生状況は次のとおり。     
路上、駐車場等屋外       19件(前年比-9件)
自宅(駐車場含む)        7件(同  -9件)
レストラン、バー等飲食店内   7件(同  +6件)
店舗、事務所等屋内       7件(同  +1件)
ホテル内                  5件(同  +1件)
空港                      4件(同  +2件)
長距離バス                2件(同  -3件)
地下鉄(構内含む)            1件(同  -9件)
銀行ATM                    1件(同  +1件)


(3)犯罪手口別の傾向
被害全体では窃盗が41件と最多であり全体の77.4%を占めている。幸い、殺人、誘拐等の凶悪犯罪の発生はなかったが、前年発生(届出)の見られなかった恐喝被害が3件発生している。


在留邦人宅への空き巣、忍び込み等の家屋への侵入窃盗の被害、地方都市での車上狙い、置き引き等の被害が増加した。


強盗被害が10件、そのうちの7件がけん銃等の凶器を用いて行われた。
犯罪手口別の発生状況は次のとおり。

殺人            
誘拐(未遂)        
強盗             
うち、凶器使用       
恐喝             
窃盗            
うち、空き巣等、家屋への侵入窃盗
置引き          
車上ねらい       
スリ           
ひったくり        
自動車窃盗        
詐欺           
ストーカー被害      
暴行・傷害        
横領            
0件(前年比-1件)
0件(同  ±0件)
7件(同  -3件)
5件(同  -2件)
3件(同  +3件)
41件(同  -3件)
9件(同  -8件)
14件(同  +4件)
9件(同  -2件)
5件(同  -10件)
3件(同  +1件)
1件(同  +1件)
2件(同  -2件)
1件(同  +1件)
0件(同  -2件)
0件(同 -1件)

(4)被害者別の傾向
被害全体で前年比-20件であるのに対し、在留邦人の被害は-1件と減少の幅が低く、在留邦人被害の率が増加した。また、旅行者の被害は大きく減少したが出張者の被害は増加した(地方での被害3件)。


被害者別の発生状況は次のとおり。
在留邦人      36件  (前年比 -1件)
旅行者        9件  (同  -19件)
出張者        6件  (同   +4件)
留学生        2件  (同   -3件)

その他(企業等)  1件   (同   -2件)

 

邦人被害の犯罪発生状況

 

 

 
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