メキシコ政治情勢(9月)

 
〈概要〉
【内政】
・1日,ペニャ・ニエト大統領の第4回大統領年次教書が連邦議会に提出された。
・1日,第63期連邦議会2016-2017年度が開幕した。
・7日,ペニャ・ニエト大統領が内閣改造を発表した。
・8日,2017年予算案が連邦下院に提出された。
【外交】
・3日,ペニャ・ニエト大統領が,習近平中国国家主席と首脳会談を行った。
・4日~5日,ペニャ・ニエト大統領がG20杭州サミットに出席した。
・18日~20日,ペニャ・ニエト大統領は第71回国連総会に出席し,20日,第71回国連総会一般討論演説を行った。
・22日,ルイス=マシュー外相が,第7回MIXTA(墨,豪,インドネシア,韓国,トルコ)外相会合に出席した。
・24日,ルイス=マシュー外相は,中米北部三角地帯の繁栄のための同盟会合に出席した。
・26日,ペニャ・ニエト大統領は,コロンビア政府とFARCとの和平最終合意署名式典に出席した。
・29日~30日,ペニャ・ニエト大統領はイスラエルを訪問し,シモン・ペレス・イスラエル前大統領の葬儀に参列した。
 
〈内政〉
1.第4回大統領年次教書提出
1日,ペニャ・ニエト大統領は第4回大統領年次教書を連邦議会に書面で提出した(同大統領年次教書全文については,https://www.gob.mx/informeで閲覧可能。)。
(1)第4回大統領年次教書の提出及び教書演説の中止
 1日,オソリオ内相は連邦下院議会に赴き,ボラニョス連邦下院議長に対し,年次教書を提出した。例年,大統領年次教書提出の翌2日に,国立宮殿にて,政府関係者,各州政府関係者,議会関係者,各政党関係者,裁判所関係者,外交団,市民団体,軍関係者,学術関係者,労働団体関係者等の出席の下,大統領の教書演説が行われてきたが,本年は従来の形での教書演説が中止され,1日夜,ペニャ・ニエト大統領と若者との会談が国立宮殿にて行われた。
(2)若者との会談 
 1日,ペニャ・ニエト大統領は国立宮殿にて,市民保護局及び緊急医療チーム,連邦警察憲兵隊,移民経験者,スポーツ及び芸術関係者,起業家,学生,ネットにおけるオピニオンリーダー等,367名の若者と会談した。同会談において,若者からの質問に答える形で,ペニャ・ニエト大統領は第4回大統領年次教書で言及された同政権下における成果を説明した。
(3)第4回大統領年次教書要旨
 本年大統領年次教書は従来(2013年9月のペニャ・ニエト政権発の大統領年次教書以降)と同様に「平和なメキシコの達成」,「包括的国家の達成」,「全国民が質の高い教育を享受する国家の達成」,「繁栄する国家の達成」,「地球規模の責任のある役割を果たす国家の達成」の5つのテーマ毎に,ペニャ・ニエト政権におけるこれまでの成果についてまとめたもの。本年の年次教書では,以下4点が強調されている。
(1)第4回大統領年次教書は,「国家開発計画2013-2018」に定められた5大目標に関し,現政権下のこの約4年間におけるそれぞれの成果をまとめたものである。同時期,ネガティブな外的要因にもかかわらず,メキシコはより良い方向へ変化し,今日,マクロ経済の安定,強固な財政制度,躍動する農牧業,漁業,生産業,観光業に基づく,強固な経済を有している。その確固たる証拠が,フォーマル・セクターにおける200万の新規雇用の創出である。
(2)今日,より多くの若者が後期中等教育及び高等教育へのアクセスを有し,メキシコ社会保険庁(IMSS)の社会保険に加入している。地域開発の分野においては,我々は,港の容量を倍増し,経済特区を制定し,80%増となるガス・パイプラインを建設する途上にある。
(3)我々メキシコ人は,社会の要求に応えるために変革を行うことを決意し,貧困撲滅及び,更なる機会創出のために取り組んでいる。また,犯罪組織対策も進めており,犯罪件数は現政権発足時との比較において減少している。我々が行うべきことは多く残されており,目標の達成は容易ではない。また,変革に対する抵抗も多く存在する。しかしながら,変革によってもたらされる成果は,その努力に見合うものである。
(4)透明性の保証及び汚職対策は,市民から政府に求められる責務の中でも,最も要求が高いものである。市民団体の意見も反映する形で成立した国家汚職対策システムは,現政権が市民に対し約束する透明性の保証及び汚職対策に関する傑出した成果である。また,刑法における当事者主義制度(Sistema de Justicia Penal Acusatorio)の全国への導入も,メキシコ刑法の枠組みの重要な変化として言及に値する。
 
2.第63期連邦議会2016-2017年度の開幕
1日の第63期連邦議会2016―2017年度が招集され,上下両院が開幕した。上院議長に緑の党のパブロ・エスクデロ・モラレス議員,下院議長に国民行動党(PAN)のエドムンド・ハビエル・ボラニョス・アギラル議員が就任した。
 
3.ペニャ・ニエト政権の内閣改造
 7日,ペニャ・ニエト大統領は大統領官邸において以下の通り内閣改造を発表した。また,右発表に続き直ちに宣誓式が開催され,正式に新閣僚が就任した。
(1)大蔵公債大臣
(前)ルイス・ビデガライ・カソ → (新)ホセ・アントニオ・ミード・クリブレーニャ前社会開発大臣
(2)社会開発大臣
(前)ホセ・アントニオ・ミード・クリブレーニャ → (新)ルイス・エンリケ・ミランダ・ナバ前内務省次官
 
4.2017年予算案の提出
 8日,2017年予算案(歳入法案,歳出案及びマクロ経済指標)が連邦下院に提出された。大蔵公債省は,政府債務増加を理由にスタンダード&プアーズ及びムーディーズの国際格付け会社が,メキシコをネガティブな監視対象としたことを受け,プラマリーバランスの黒字化を図るため新規切り詰め額700億ペソを含む総計2,397億ペソの歳出削減を盛り込んだ予算案を提出した。2016年の歳入額は,前年比0.4%増の4兆3,000億ペソ,借入金を含めた合計額は約4兆8,400億ペソを見込んでいる。一方,歳出額は借入金を含めた歳入額とほぼ同額,前年比1.7減となる4兆8,400億ペソが見込まれている。なお,来年の経済成長率は2.0%~3.0%,インフレ率は3.0%,為替レートは18.20ペソ/ドル,メキシコ産石油の価格を42ドル/1バーレルとしている。
 
〈治安〉
1.ミチョアカン州における犯罪組織による治安当局のヘリコプター撃墜事件
(1)6日17時45分頃,ミチョアカン州を中心に活動する犯罪組織「テンプル騎士団」のリーダーの一人であるイグナシオ・レンテリア・アンドラーデ容疑者の身柄拘束オペレーションに参加していたミチョアカン州検察庁のヘリコプターが,犯罪組織の攻撃によって撃墜され,少なくとも乗組員の4名が死亡した。
(2)同日,13時30頃,ミチョアカン州ラ・ウアカナ市において,市民からの通報で駆けつけた治安当局と犯罪組織間の銃撃戦が発生。その場で,レンテリア容疑者の兄弟とみられる通称「エル・パパ」が殺害された。治安当局は,犯罪組織の中にレンテリア容疑者がいると見て,同容疑者の身柄拘束オペレーションを強化。治安当局と犯罪組織間の銃撃戦が激化し,17時45分頃,応援に駆けつけたミチョアカン州検察庁のヘリコプターが火器によって攻撃を受け,撃墜された。なお,レンテリア容疑者の身柄が拘束されたとの情報はない。
(3)2015年2月に,犯罪組織「テンプル騎士団」首領セルバンド・ゴメス容疑者,通称「ラ・トゥタ」が逮捕されて以降,同犯罪組織は弱体化していると見られているが,他方,犯罪組織の細分化が進み,犯罪組織間の縄張り争いにより治安情勢が不安定なものとなっている。
 
2.シナロア州クリアカン市におけるメキシコ軍への襲撃事件
(1)30日早朝,シナロア州クリアカン市バディラグアト地区で治安維持活動に従事していたメキシコ軍の部隊と犯罪組織の間で銃撃戦が発生した。メキシコ軍部隊は犯罪組織のメンバーであるフリオ・オスカル容疑者の身柄を負傷した状態で拘束し,緊急治療のために医療施設に運んだところ,同容疑者の奪還を目論んだ犯罪組織に襲撃を受け,メキシコ軍部隊の5名が死亡,11名が負傷した。
(2)シナロア州では複数の犯罪組織が活動しており,犯罪組織間の縄張り争いが激化している。今回の事件に何れの犯罪組織が関与したかは現在捜査中であるが,シナロア・カルテルの最大幹部で刑務所に収監中のホアキン「チャポ」グスマン容疑者の息子の関与が疑われている。
 
〈外交〉
1.ペニャ・ニエト大統領と習近平中国国家主席との首脳会談
(1)3日,G20杭州サミットへの出席に先立ち,ペニャ・ニエト大統領は,習近平国家主席と首脳会談を行った。両首脳は,深く実りのある政治対話の実現及び二国間アジェンダの優先事項として投資を促進するために,両国政府が取り組んでいく旨表明した。また,両首脳は,墨中二国間貿易が益々補完的な形で成長し,両国経済の競争力強化に利していることを歓迎した。
(2)ペニャ・ニエト大統領は,2016年4月に中墨ファンドによる最初の投資が正式に決まったことを歓迎するとともに,2014年~2015年の間の訪墨中国人の数が30%増となったことを歓迎した。
(3)ペニャ・ニエト大統領は,中国はメキシコにとって世界で2番目の貿易相手国であり,メキシコの輸出品にとって3番目の市場である旨,また,メキシコが中国にとってラテンアメリカ諸国で最大の貿易相手国である旨,墨中二国間貿易額は2015年に749億ドルに達した旨述べた。
(4)ペニャ・ニエト大統領は,2016年は「中国-ラテンアメリカ文化交流年」を開催しており,2017年には,更なる文化活動の実施,並びに,学術交流プログラム及び墨中二国間の奨学金の拡大に向けて共同で取り組むことが期待されている旨述べた。また,同大統領は科学・技術研究プロジェクトの第2回墨中共同募集が開始される旨述べるとともに,クリーン・エネルギー,バイオテクノロジー,農業,エンジニアリング,航空宇宙産業,水資源,環境,保健に係る先端研究を含む,二国間の交流を促進することを提案した。
(5)両首脳は,墨中二国間の航空アクセスを改善することの重要性について述べ,現在,メキシコ-中国直行便就航の許可に向け取り組んでいる旨言及した。
 
2.ペニャ・ニエト大統領のG20杭州サミット出席
 4日~5日,ペニャ・ニエト大統領はG20杭州サミットに出席し,5日,サミット終了後に記者会見を行った。
(1)ペニャ・ニエト大統領記者会見概要
(ア)今般のG20杭州サミットで議題に上がったテーマの一つが,高い不確実性(Volatil)と複雑性の中にある今日の世界におけるリスクを軽減するメカニズムの模索であった。このような複雑な状況に対し,構造改革の促進が最良の対策であると考える。いくつかの構造改革は即座にその成果をもたらすものではないが,我々の社会の発展及び繁栄を保証する最良の道であることに疑いはない。
(イ)我々は,現在の世界経済において,世界貿易を抑制する保護主義的な措置をとることを引き続き避けることについて話し合った。各国の各々の強みをもとに連結され相互補完される世界経済を促進することが,我々の社会における経済成長の重要な牽引力となる。
(ウ)議長国の中国は,世界経済の連結を強化するとともに,開かれた経済の達成に向けた発展の実現のためには,技術革新が必要であることを強調した。特定の地域のみの発展は不可能であり,発展は全ての地域で同様に共有されなければならない。この点に関し,現政権が進めるメキシコの事例を各国と共有した。
(エ)また,貧困対策に関しても話し合った。G20の多くの国と我々の地域の間に存在する違いは格差の問題であるところ,発展は皆に同様に共有されなければならない点が強調された。本件に関し,社会開発の遅れが見られる地域の発展を促進する方法としての経済特区について話し合った。メキシコの事例に関して述べれば,南部の州を他の州と同様に発展させることを目的に4つの経済特区を制定したが,そのうち3地域に関しては,既に承認されている。
(オ)全ての国が共同で取り組まなければならない気候変動,COP21におけるパリ協定によって定められた温室効果ガス排出量の削減目標も議題に上った。この点に関し,世界最大の温室効果ガス排出国である米国及び中国が,パリ協定を受諾する決断に至ったことを広く歓迎した。メキシコもパリ協定に署名しており,連邦上院による承認を待つのみである。
(2)この他,ペニャ・ニエト大統領は,同記者会見においてオバマ米大統領,メイ英首相との首脳会談に関し,下記の通り言及した。
(ア)オバマ米大統領との首脳会談
 ペニャ・ニエト大統領は,オバマ政権下における様々な分野におけるメキシコとの協力を評価した。また,オバマ大統領に対し,メキシコ政府は米国の大統領選挙プロセスを尊重している旨改めて述べた。さらに両首脳は,経済,学術交流,移民問題に係る協力を,オバマ大統領の任期終了まで引き続き継続して行く旨,改めて表明した。
(イ)メイ英首相との首脳会談
 ペニャ・ニエト大統領及びメイ英首相は,更なる発展を遂げるための道は自由貿易である点で一致した。また,ペニャ・ニエト大統領は,メキシコにおける英国の主要投資国としての重要性について改めて言及した。
 
3.ペニャ・ニエト大統領とカリフォルニア州議会議員団との会談
(1)14日,ペニャ・ニエト大統領は大統領官邸にて,Kevin de Leonカリフォルニア州上院議会暫定議長(民主党)を団長とする同州議会議員団と会談し,墨-カリフォルニア州間の経済面,社会面での交流に関し,意見交換を実施した。
(2)カリフォルニア州議会議員たちは,ペニャ・ニエト政権による構造改革及び,環境保護政策並び省エネルギー政策を評価した。
(3)ペニャ・ニエト大統領は米国在住メキシコ人の権利尊重及びその保護に対するメキシコ政府の責務を強調した上で,メキシコは全米に50の領事館を有し,そのうち10館がカリフォルニア州に所在する旨述べた。
(4)ペニャ・ニエト大統領とカリフォルニア州議会議員団は,墨とカリフォルニアの経済関係の規模,多面性を確認し,両者の年間貿易額は719億ドルに上り,両社会に発展と繁栄をもたらしている点を強調した。また,墨-カリフォルニア州の墨米国境における人,車両,貨物の往来を促進する方法に関し,意見交換を行った。
(5)同会談には墨側からは,ペニャ・ニエト大統領,ルイス=マシュー外相,グスマン大統領府長官,ベルディア大統領補佐官が,カリフォルニア州議会議員団(何れも民主党所属議員)からは,Kevin de Leon同州上院議会暫定議長,Fran Paveley同州上院議員,Marty Block同州上院議員,Ben Hueso同州上院議員,Benjamin Allen同州上院議員,Jose Medina同州下院議員,Rudy Salas同州下院議員が出席した。
 
4.ペニャ・ニエト大統領の第71回国連総会出席
 18日~20日,ペニャ・ニエト大統領は第71回国連総会出席のためニューヨークを訪問した。
(1)アウンサンスーチー・ミャンマー国家最高顧問兼外相との会談(19日)
 ペニャ・ニエト大統領はアウンサンスーチー・ミャンマー国家最高顧問兼外相と会談し,同最高顧問兼外相に対し,ミャンマーにおける民主化プロセスの進展及び同国の経済発展の展望に対する祝辞を述べた。また,本年8月にミャンマーで開催された平和会議(「21世紀のパンロン会議」)は,ミャンマーにおける和平及び和解プロセスにおいて重要な意味を持つものであると歓迎した。なお,メキシコとミャンマーの政府高官が会談するのは,この40年間で今回が初である。
(2)難民及び移民に関するサミットにおけるペニャ・ニエト大統領発言概要(19日)
(ア)移民は,人類の進歩,つまり,人類の移動する力を象徴するものである。移民によって,人類は世界各地にたどり着き,移動を通じて,伝統,アイデア,知識,技術,価値観,希望を伝播させてきた。移民は,文化の主要な仲介者と言える。
(イ)メキシコは,歴史の中で多様な移民がもたらした果実としての多文化を有する混血国家であることを誇りとしている。我々は混血が人類にとっての未来であると確信している。
(ウ)我々は移民問題を世界的議論の中心に,移民の権利,尊厳,福祉とともに位置づけなければならない。メキシコは,「難民及び移民のためのニューヨーク宣言」の付属文章に盛り込まれた移民・難民対策を定める二つの国際的取り決めの2018年採択に向けて,かかるテーマに関する多国間フォーラムに積極的に参加していく。
(エ)また,移民・難民対策を定めた二つの国際的取り決めには,以下の7点が盛り込まなければならないと考える。
(1)移民の人権。国家に移民に対する義務を規定する。
(2)移民の出身国,通過国,到着国の間で共通の責任を共有する。
(3)移民が経済・社会発展に貢献する存在であることを認める。
(4)不寛容,偏見,人種差別を廃絶するための社会的包摂という視点を促進する。
(5)流動する移民に対し,より安全かつ秩序の保たれた選択肢の提供を目的とした,移民を巡るガバナンスという枠組みを構築する。
(6)移民に対し総合的な応対を実施する国家の能力強化を目的とした国際的協力の拡大。
(7)気候変動及びその他自然災害を,移民問題の原因として認識する。
(オ)以上7点を含めた形での移民・難民対策を定めた二つの国際的取り決めを促進するために,メキシコは2017年,準備会合の開催地になることを申し出た。メキシコは,移民を変化及び発展をもたらすものとして認め,これらの者が人権を享受するとともに,移民に対する憎悪及び差別に基づく言説が根絶されるよう,引き続き取り組んでいく。
(3)難民に関するリーダーズ・サミット(20日)
 ペニャ・ニエト大統領は,オバマ米大統領,潘基文国連事務総長らと難民に関するリーダーズ・サミットに出席し,概要以下の通り述べた。
(ア)2012年~2016年の期間に,中米諸国からメキシコへの移民は286%増となっている。年間40万人以上が,メキシコ南部の国境を越えている。過去3年間,メキシコは1万2千近くの難民申請を受けてきた。
(イ)このような状況に鑑み,メキシコは移民・難民の威厳を尊重し,人道的対応を行うために以下7つの行動を促進している。
(1)責任を共有し,共同で対応するために中米諸国,米国,カナダの当局との連絡体制を強化。
(2)難民認定を受けた者に対する社会的,経済的包摂の促進。
(3)国際基準に基づいた被選挙資格授与手続きの強化。
(4)メキシコ難民支援委員会の活動強化。今後数ヶ月の間に,同委員会の職員を80%増加させる。
(5)難民申請者,とりわけ,未成年者が行政拘禁されることを避けるための代案の推進。
(6)国際連合難民高等弁務官事務所及び市民団体の協力の下,難民申請の権利に関する情報普及キャンペーンの実施。
(7)同伴者のいない未成年者移民,難民を国際的に保護する必要性に関する議定書の適用。
(エ)メキシコは,国際社会が難民に対する団結を示すことを呼びかけるともに,これらの者が難民先の社会に同化できるよう,国際社会が努力していくことを呼びかける。
 
5.メキシコ外交(ペニャ・ニエト大統領の国連総会一般討論演説)
20日,ペニャ・ニエト大統領が第71回国連総会一般討論演説を行ったところ,概要は以下のとおり。なお,見出しは便宜上付したもの。
(1)持続可能な開発のための2030アジェンダ
(ア)「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は,近年の歴史における国際社会の合意としては,最も斬新かつ崇高な,また要求の高い行動計画である。同アジェンダは,人権,環境,持続可能な平和に関し,国際社会が昨年達した合意を調和する枠組みである。メキシコは同アジェンダの実行を国家の責務として取り組んでいる。
(イ)同アジェンダ実行のため,大統領が委員長を務めるハイレベル委員会を設立した。
(ウ)メキシコは同アジェンダの地域レベルでの実行を推進している。その一環として,メキシコは来年,持続可能な開発に関するラテンアメリカ・カリブ諸国フォーラムを主催する。
(エ)メキシコは,社会権の完全な行使の実現に向けた社会的包摂国家戦略を推進してきた。右戦略を軸として,貧困撲滅及び平等の実現に取り組んでいる。
(2)COP21におけるパリ協定
(ア)メキシコは,緊急を有する国際的課題への対応として,パリ協定を採択した。墨上院議会は,同協定を承認し,明日(9月21日),同協定がメキシコについて発効する(注:同協定の発効にあたっては,少なくとも55カ国が締結の手続きを終え,これらの国々の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上を占めることが条件となっている。潘基文国連事務総長は9月21日までに60の国と地域が締結を終え,排出量の合計は世界全体のおよそ47%になったことを明らかにし,年内に協定が発効すると確信している旨述べている)。
(イ)現政権下で推進されるエネルギー改革にはエネルギー移行法が含まれており,メキシコは総電力に占めるクリーン・エネルギーの割合を2018年までに25%,2040年までに60%に増加させる計画を有している。
(ウ)メキシコは地球規模の責任を果たす国家の役割の一環として,本年12月,生物多様性条約第13回締約国会合の開催国を務める。
(エ)メキシコは来年,仙台防災枠組の最初の2年間の取り組みを評価し,開発のためのリスクの軽減目標を定める国連世界防災会議の開催国を務める。
(3)持続可能な平和
(ア)メキシコは平和を希求するとともに,国際的な持続可能な平和の達成に対し責務を有している。国際社会は,武力紛争による影響を受けた国家の安定には,治安のみならず,人権及び法の支配の尊重,並びに,包摂的発展を推進する国家の能力が必要であることを確認してきた。
(イ)持続可能な平和の達成には,社会的,政治的危機を回避し,異なる国で存在する紛争を平和的な手段で解決することが必要不可欠である。直近の事例がコロンビアにおける和平合意であり,メキシコは同和平合意を歓迎するとともに,その目標が達成されるよう貢献していく。
(ウ)メキシコは,中米カリブ地域の緊張緩和及び相互理解の促進のために,キューバに対する経済制裁の解除を呼びかける。
(エ)国際社会にとって最も深刻な脅威の一つが核兵器の存在である。メキシコは伝統的に核廃絶に取り組むとともに,核実験を断固として非難してきた。メキシコは,国際社会がこの脅威から解放されるよう,今後も取り組んでいく。
(4)民主主義
(ア)この数十年間,世界中の多くの人々が生活の質を向上させてきた。しかし,現状に満足できない社会が多く存在するのも事実である。このような状況下,多くの市民が為政者と距離を感じ,制度に対する不信感を募らせており,未来の不安定さが増長している。
(イ)ラテンアメリカにおいては,アンケート調査等を通じて,市民の民主主義に対する不満の高まりが明らかとなっており,事態は深刻である。このような状況を前に,世界はデマゴギー及び権威主義の罠に陥ってはならない。実現性のある唯一の道のり及び,市民の要求に対する唯一の回答は,民主主義そのものにある。
(ウ)政府は,市民の声を聞き,その要望に応え,市民が意見を述べ,公共政策に関与する機会を提供する能力を有さなければならない。
(エ)ソーシャルネットワークは日々,市民の政治参加を促進している。政府はこれら新しい技術を活用しながら,公的議論の場を促進し,意見交換を行い,市民と共に進むべき道を決めていく必要がある。我々の多様性及び永続的対話は,民主主義において,より良い未来を作り出す適切な方法である。民主主義への失望に対する回答は,民主主義の中にこそ見いだせる。
 
6.第7回MIXTA外相会合
22日,第71回国連総会に出席するためニューヨークを訪問中のルイス=マシュー外相が,第7回MIXTA(墨,豪,インドネシア,韓国,トルコ)外相会合に出席した。
(1)参加国の外相は人道的危機,とりわけ,難民問題に対するMIXTAとしての貢献の在り方に関し話し合った。参加国外相は,難民への支援及び,難民受け入れ国への援助を行うことは共通の責務である旨のMIXTA外相共同宣言を採択した。
(2)また,参加国外相は,仙台防災枠組の達成にMIKTAが貢献する旨,及び,2017年5月22日~26日の日程でメキシコのカンクンで開催される国連世界防災会議を成功裏に終わらせるために協力する旨確認した。
(3)参加国外相は,本年9月9日に実施された北朝鮮による核実験を非難する共同コミュニケを発出した。
(4)次回第8回MIXTA外相会合を,本年11月末にオーストラリアで開催することで合意した。
 
7.ルイス=マシュー外相の中米北部三角地帯の繁栄のための同盟会合出席
 24日,ルイス=マシュー外相は,ワシントンで開催された中米北部三角地帯の繁栄のための同盟会合に,バイデン米副大統領,エルナンデス・ホンジュラス大統領,サンチェス・エルサルバドル大統領,モラレス・グアテマラ大統領,モレノ米州開発銀行総裁とともに出席した。同会合においてルイス=マシュー外相は,中米地域の発展に対するメキシコの戦略的パートナーとしての責務を強調し,また,同地域の繁栄のために移民問題は避けることのできないテーマの一つであり,同問題への中・長期的対策を考えることが重要である旨述べた。その上で同外相は,メキシコの責務として,同地域における社会開発,エネルギー,農業,インフラの分野に係る協力プロジェクトに加え,中米北部三角地帯出身の同伴者のいない未成年者移民に対する予防プロジェクトを展開する旨述べた。
 
8.ペニャ・ニエト大統領のコロンビア政府とFARCとの和平最終合意署名式典出席
(1)26日,コロンビア政府とFARCとの和平最終合意署名式典に出席したペニャ・ニエト大統領は記者会見を開き,メキシコは,国連コロンビア・ミッションに参加し,同ミッションの一員として,コロンビア政府とFARCとの歴史的な和平合意の内容遵守の監視に積極的に関与していく旨述べた。
(2)また,同大統領は,メキシコは,アフガニスタンに次いで世界で2番目に地雷が設置されているコロンビアにおける地雷撤去の国際的取り組みに対し,100万ドル拠出する旨述べた。
(3)さらに,同大統領は,ラテンアメリカ・カリブ地域で唯一残されていた50年以上にわたる武力紛争に終止符を打つ歴史的和平合意の証人となれることは,名誉なことである旨述べた。
 
9.ペニャ・ニエト大統領のシモン・ペレス・イスラエル前大統領の葬儀出席
29日~30日,ペニャ・ニエト大統領はイスラエルを訪問し,ルイス=マシュー外相及び,メキシコのユダヤ人コミュニティーを代表するSalomon Achar氏とRafael Zega Kalach氏とともに,シモン・ペレス・イスラエル前大統領の葬儀(30日)に参列した。