大使挨拶

令和6年11月29日

在メキシコ日本国大使館のホームページにようこそお越しくださいました。
 
駐メキシコ特命全権大使として2024年11月27日に着任しました、本清耕造(ほんせい・こうぞう)です。メキシコでの勤務は32年前、新米外交官として初めての大使館勤務を経験して以来となります。価値や原則を共有する戦略的グローバル・パートナーとして、近年ますます深化している日本とメキシコの二国間関係に、長年の勤務を経て再び携われることを、とてもうれしく、また、大変光栄に思います。
 
日本とメキシコとの関係は、多岐に及びます。例えば政治面においては、太平洋を挟む隣国として、自由で開かれた国際秩序を維持・発展させるとともに、私が本省で部長、ジュネーブで大使として専門としてきた軍縮・不拡散や、人道、災害を含む気候変動などの地球規模課題に取り組むべく、二国間のみならずG20やAPEC等、様々な国際場裡の場でも協力関係を深化させています。経済関係は、本年署名20周年を迎えた日墨EPAや、2018年に発効したCPTPPの恩恵もあり飛躍的に拡大していて、今やメキシコに進出している日本企業は中南米地域で最多の約1,500拠点に及びます。
 
こうした政治・経済的な関係の深化を支えてきたのが、歴史的な人と人とのつながりです。1609年にメキシコ出身のフィリピン臨時総督一行を乗せた船が千葉県御宿で座礁した際、地元住民の懸命な努力により一行が救出され、メキシコまで無事帰還して以来、両国間には400年を超える交流があります。また、1897年に中南米で初の日本人移民団である榎本植民団がチアパス州に入植して以来、日系人の方々のご活躍があって両国国民の相互理解が一層進み、友好関係の礎が築かれました。その礎の上に、両国は苦しい時こそ助け合い、その度に友好的な関係を深めてきました。例えば、1985年にメキシコで大地震が起きた際に日本が復興及び防災体制強化への支援を実施して以来、両国は地震大国としての協力関係を深めてきました。私が中米カリブ課長だった2011年、東日本大震災が起きた際には、メキシコから緊急援助隊が来日してくれたことを印象深く覚えています。また、2017年にメキシコ中央部で発生した地震を受けて、当時のメキシコ政府の要請に基づき、日本は国際緊急援助隊を派遣しました。
 
現在、両国間の交流はかつてない規模で深まっています。私の大好きなメキシコのマリアッチやポップなどの音楽、そして世界遺産に登録されたメキシコ料理などの文化は今や広く日本の方にも受け入れられています。同様に日本の和食も世界遺産に登録され、メキシコにおいて人気が高まり、今や中南米最多の7,000を超す日本食レストランがメキシコには存在しています。食以外の日本文化も、アニメ・漫画などのポップカルチャーから伝統芸能まで、幅広くメキシコで親しまれており、2024年のメキシコから日本への旅行者数は10月時点ですでに過去最高の10万人を突破しました。
 
こうした中にあって、日本国大使としての私の使命は、日本の魅力をより多くのメキシコの皆様に、メキシコの魅力をより多くの日本の皆様に知っていただくことで、二国間関係を更に発展・深化させること、そしてメキシコに滞在する邦人の皆様の安全を確保し、そのご活躍を後押しすることです。当館としてお役に立てることがあれば、いつでもご相談ください。引き続きの皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
 
本清 耕造