メキシコ政治情勢(6月)

 
 

 

メキシコ政治情勢(6月)

 

 

〈概要〉
内政では,7日,中間選挙が実施された。20日~22日,メキシコ全土31州のうちの29州及びメキシコ市において,教職員の昇進に係る評価試験が初めて実施された。26日未明,ペニャ・ニエト大統領が体調不調を訴えて陸軍中央病院に入院,胆嚢摘出手術を受けた(ペニャ・ニエト大統領は28日に退院)。23日には「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン(CJNG)」幹部が逮捕された。
外交では,7~8日,中国,香港及びマカオの観光分野の約30の企業家から構成される企業ミッションが訪墨,ルイス=マシュー観光大臣等と会談した。8日~9日,ミード外相がドイツを訪問,シュタインマイヤー独外相と墨独二国間委員会を設置するための共同宣言に署名した。10日,ペニャ・ニエト大統領は,ブリュッセルにおいてメルケル独首相と会談した。10日~11日,ペニャ・ニエト大統領はブリュッセルで開催された第2回EU-CELAC首脳会合に出席した。12日,ペニャ・ニエト大統領は欧州理事会において,トゥスク欧州理事会議長及びユンカー欧州委員会委員長とともに第7回墨EUサミットを開催した。12日~15日,ペニャ・ニエト大統領はイタリアを公式訪問した。25~28日,第15回墨玖議会間協議会合に参加するため,バルボサ上院議長をはじめとするメキシコ議員団がキューバを訪問した。26日,ミード外相は,入院中のペニャ・ニエト大統領の代理としてグアテマラを訪問,同国アンティグアで開催された第15回トゥストラ対話と協調メカニズム首脳会合に出席した。6月28日~7月1日にかけて,フェリペ6世スペイン国王夫妻が当国を国賓訪問した。

 

〈内政〉


1.中間選挙概要
7日,中間選挙(連邦下院議員選,9州知事選,15州議会及び市長選,メキシコ市区長選及び市議会選)が実施された。
 選挙結果及び注目ポイントに関しては以下,在メキシコ日本国大使館ホームページ参照。
http://www.mx.emb-japan.go.jp/2015年中間選挙のポイント.pdf

 

2.教職員の昇進に係る評価試験の実施
20日~22日,メキシコ全土31州のうちの29州及びメキシコ市において,教職員の昇進に係る評価試験が初めて実施された。本試験は,2013年の教育改革によって,教職員の採用,昇進,雇用継続の決定において教職員への評価試験の実施が義務づけられたことによるもの。教職員労働者全国協議会(CNTE)の一部が,教職員に対する試験実施の中止を強硬に求め,本年6月7日の中間選挙の実施が危ぶまれていたところ,5月29日,教育省は同試験の実施中止を示唆したが,6月8日,チュアイフェット教育相が,同試験を予定通り実施する旨発表していた。
(1)20日~22日,2013年の教育改革によって定められた教職員の昇進に係る評価試験のうち,基礎教育(幼稚園~中学校)分野の管理職5,721ポスト,スーパバイザー職(Supervision)1,003ポスト,教育アドバイザー職(Asesoria Tecnica Pedagogica)15,141ポストの試験が実施され,事前に受験登録した48,674名の82.7%が受験した。
(2)教育省は,オアハカ州及びミチョアカン州においては,試験を実施する条件が整っていないとして延期した。なお,新たな試験実施日程に関しては後日,受験者に通知すると発表している。オアハカ州,ミチョアカン州では教育改革に反対するCNTE等の勢力が,教職員への試験の実施中止を求め,その抗議活動を先鋭化させる姿勢を見せていた。
(3)22日,ハリスコ州で開催されている第16回バーチャル教育(Virtual Educa)世界会合に出席したペニャ・ニエト大統領は,メキシコは重要な教育制度の改革に取り組んでおり,先週末,昇進を目指す基礎教育分野の教員39,000人以上が初めて評価試験を受験した,この新しい制度に反対する勢力がごく一部存在するが,この制度は,教職員,生徒,全ての国民に恩恵を与えるものであるところ,教育改革が後退することはない旨述べた。

 

3.ペニャ・ニエト大統領の手術
26日,メキシコ大統領府は,同日未明,ペニャ・ニエト大統領が体調不調を訴えて陸軍中央病院に入院,胆嚢摘出手術を受けた旨発表した。同日12:30に実施された記者会見において,サンチェス大統領府広報官は,術後の経過は良好であり,大統領は既に一般病室に戻っており,29日(月)には職務に復帰する旨述べた。また,右記者会見において,同広報官他病院関係者は,胆嚢炎による入院であり,腹腔鏡下による手術が行われたところ,通常24時間(最大48時間)で退院すると説明した(術後の経過は良好で,ペニャ・ニエト大統領は28日には退院)。なお,26日に予定されていたグアテマラ訪問はキャンセルされた。

 

〈治安〉

 

1.元制度的革命党(PRI)ハリスコ州支部長の殺害事件

 19日,ハビエル・ガルバン・ゲレロ元制度的革命党(PRI)ハリスコ州支部長が銃殺される事件が発生した。容疑者は少なくとも二人組であり,逃亡している。被害者は国家公務員共済庁ハリスコ州代表を務めており,国家公務員への犯罪事件という性質から,連邦検察庁による捜査が行われる。
今回の事件により, 2013年3月のサンドバル・ハリスコ州知事就任後のハリスコ州における公職者の殺人被害者数は108名に上った。

 

2.グアナファト州ヘレクアロ次期市長の殺害事件

(1)22日,7日の市長選で当選したロヘリオ・サンチェス・ガラン・ヘレクアロ次期市長(緑の党所属)が,武装した集団に襲撃され,殺害される事件が発生した。殺害されたサンチェス次期市長は,2009年~2012年の期間,ヘレクアロ市長を務め(当時は国民行動党(PAN)所属),今回は2度目の同市長選当選であった。
(2)25日,グアナファト州議会のPAN,PRI,緑の党の議員たちが記者会見を開き,州法に基づき,10月10日に予定される就任後48時間以内に,ヘレクアロ市議会が後任市長を選出しなければならない旨説明した。

 

3.「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン(CJNG)」幹部の逮捕
(1)6月23日,ルビド国家治安コミッショナーは,犯罪組織「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン(CJNG)」首領ネメシオ・オセゲラ(Nemesio Oseguera)の息子であり,同組織の幹部であるルベン・オセゲラ(Ruben Oseguera,通称:エル・メンチート(El Menchito))をハリスコ州サポパン市で逮捕した旨発表した。軍および連邦警察の共同作戦で実施された逮捕に際して,被疑者からの抵抗はなく,同人の義兄であるカスティージョ(Julio Alberto Castillo Rodriguez)が同時に逮捕されたほか,AK47ライフル等の火器が押収された。
(2)ルベン・オセゲラは,CJNGのナンバー2と見られており,同組織の財務管理のほか,南米産麻薬の密輸,ハリスコ州及びコリマ州の支配を担っていたと見られている。このため治安対策の専門家は,今次逮捕はCJNGに大きな打撃を与えるものと評価している。なお,同人は2014年1月に逮捕された経緯があるが,同年末に証拠不十分で釈放されていた。

 

〈外交〉


1.観光分野の中国企業ミッション訪墨:ルイス=マシュー観光大臣との会談


(1)概要
(ア)7日~8日,中国,香港及びマカオの観光分野(ホテル,交通,文化,建設等)の約30の企業家から構成される企業ミッションが,メキシコへの新たな投資及び協力の機会を模索するため,太平洋同盟加盟国歴訪の一環として訪墨した。
(イ)同企業ミッションは,ルイス=マシュー墨観光大臣のほか,メキシコ観光分野における商工会議所の代表,ホテルチェーン,旅行代理店等と会談を行った。
(ウ)同ミッションの代表を務めるPansy Ho女史は,中国で最も影響力がある企業家の一人であり,信徳集団(Shun Tak Holdings Limited)(当館注:不動産開発・投資,輸送サービス、ホテル経営、レジャー事業等を手掛ける)CEO,中国観光商工会議所副会長及び世界観光経済フォーラム(GTEF)(注:2012年に設立された,マカオ特別行政区社会文化庁が主催する,特に中国に焦点を当てた観光フォーラムで,毎年世界中から1000名以上の観光当局・観光業関係者,学術者,専門家等が出席。)事務局長を務める。
(2)ルイス=マシュー観光大臣との会談
(ア)8日,Pansy Ho女史を代表とする中国企業ミッションは,ルイス=マシュー観光大臣と会談を行った。メキシコ側からは,ゴメス(Hector Gomez Barraza)メキシコ国家観光振興基金(FONATUR)長官,ロペス(Rodolfo Lopez Negrete)メキシコ観光振興協議会(CPTM)会長が同席した。
(イ)ルイス=マシュー観光大臣は,メキシコには外国投資に開かれた官民連携プロジェクトや,外資と共同しつつ観光プロジェクトを進めることが可能な国内大企業が存在する,中国からの観光プロジェクトへの投資を歓迎する旨述べた。
(ウ)同大臣は,中国はメキシコにとって観光分野においてアジアで2番目に,世界では16番目に重要な市場であり,戦略的なパートナーである旨,また,メキシコは中国にとって中南米で第2位の観光訪問先であり,中国からメキシコへの観光客数は年々増化,2014年には75,665名で前年比25%増を記録した旨述べた。
(エ)これに対して,Pansy Ho女史は,中国企業はグローバル経済の中で最も力強いセクターの一つである観光分野への投資に対する関心を有しており,中国の開放的な政策を活用して(観光分野における)中南米との協力関係を強化している旨述べた。

 

 

2.ミード外相のドイツ訪問


(1)概要 
(ア)8日~9日,ミード外相はドイツを訪問し,シュタインマイヤー外相とともに墨独二国間委員会(Comision Binacional Mexico-Alemania)を設置するための共同宣言の署名を行った。
(イ)両政府間の協議,調整及び協力にかかる主要なフォーラムとなる同委員会は,未来に向けた同盟(Alianza para el Futuro)を推進するための両国の取組の一環であり,ペニャ・ニエト大統領及びメルケル首相による墨独二国間関係を深化させようという意思の結果である。
(ウ)両外相は,同委員会の下に,①政治,②持続可能な開発,環境,気候変動にかかる協力,③科学,研究及びイノベーション,④経済,エネルギー,貿易投資及び観光,⑤文化及び教育の5つの下部委員会を設置することで合意。これらの下部委員会には,両国政府の複数の省庁が参加することとなる。
(2)両国政府は,以下のMOUに署名した。
(ア)(教育及び職業訓練の)ダブル研修(Formacion Dual)に関するMOU
(イ)交通,電気通信及び公共事業分野における協力・共同プロジェクトの強化に向けたデジタル・インフラに関するMOU
(3)両外相共同記者会見
(ア)シュタインマイヤー外相は,メキシコにおける技能訓練,職業訓練を体系化するためにドイツ企業及び教育機関が参画するダブル研修に関する個別のプロジェクトが既に多数存在している旨述べた。これに対し,ミード外相は,既に150以上の企業,50以上の教育機関が積極的にダブル研修のメカニズムに参加している,教育分野における両国間の関係は深く,両国の高等教育機関の間では320以上の協定が締結されており,毎年約2000人のメキシコ人がドイツに,約2000人のドイツ人がメキシコに留学している旨述べた。
(イ)シュタインマイヤー外相は,本日,メキシコが(国内で)直面し,治安政策の面で取り組まなければならないいくつかの困難についてミード外相と協議し,法治国家を強化するための協力に合意した,我々はメキシコ連邦検察庁(PGR)と協調しつつ刑事捜査の分野における支援も行いたいと考えており,また,法医学捜査の分野における協力にも合意した旨述べた。

 

3.墨独首脳会談


(1)10日,ペニャ・ニエト大統領は,ブリュッセルにおいてメルケル独首相と会談を行い,両国関係を深化させるプロセスにつき進捗を確認した。
(2)会談の冒頭,メルケル首相から,6月7日に投票された中間選挙の準備及び実施,同選挙における高い投票率につき,メキシコ国民に対する祝意が述べられた。また,同首相は,同選挙の結果により,現在メキシコが進めている(構造)改革プロセスの持続性が保障される旨述べた。
(3)メルケル首相は,ペニャ・ニエト大統領に対し,同大統領の下でメキシコが推し進めてきた構造改革の実施につき賛辞を述べるとともに,同改革によって生じる投資機会を前提にEUとして同プロセスを注視していく旨述べた。これに対して,ペニャ・ニエト大統領は,現在メキシコ政府はこれらの構造改革がメキシコ国民のための開発及び機会(の創出)に繋がるように,同改革の実施に取り組んでいるところである旨強調した。
(4)両首脳は,両国の二国間関係の戦略的側面を評価し,両国は貿易,政治対話,協力といった分野において関係強化のための大きな機会を有する点で一致した。
(5)独政府は,メキシコ及びEU間の戦略的連携協定(注:既に発効済みの墨EU・FTAに該当する協定をさす)の現代化・近代化のための交渉プロセスの開始に向けた支持を表明。ペニャ・ニエト大統領から,本件支持に対する謝意が述べられた。
(6)両外相は,墨独二国間関係を深化させようという両国の意思の結果であり,未来に向けた同盟(Alianza para el Futuro)の一部を成す対話メカニズムである,墨独二国間委員会(Comision Binacional Mexico-Alemania)の設置を歓迎した。
(7)両首脳は,2016年に実施予定の墨におけるドイツ年,独におけるメキシコ年の準備にかかる進捗を確認し,同プロジェクトは両国民の間の距離を更に縮めることに貢献する旨述べた。この点に関し,メルケル首相は,ペニャ・ニエト大統領が明2016年の上半期にドイツを訪問するよう招待した。

 

4.ペニャ・ニエト大統領の第2回EU-CELAC首脳会合出席
10日~11日,ペニャ・ニエト大統領はブリュッセルで開催された第2回EU-CELAC首脳会合に出席したところ,第2プレナリーセッション「共通の課題:ポスト2015開発アジェンダ,気候変動及び薬物に関する世界的問題」及び非公開セッション「国際問題,国際開発に関する対話」における大統領の発言概要は以下のとおり。
(1)ポスト2015開発アジェンダ
(ア)メキシコは,2000年に採択された国連ミレニアム開発目標を達成するために,これまで熱心かつコミットメントをもって取り組んできた。2015年末には,我々は84%の達成度に到達すると信じている。
(イ)毎年世界レベルで,これら開発目標を達成するための重要な進捗が得られていることを評価。他方で,依然として乗り越えるべき多くの重要な課題が存在する。国連ミレニアム開発目標の根源は有効なものとして維持されるだけでなく,新たなグローバルな課題を考慮に入れて,刷新されなくてはならない。
(ウ)メキシコはこれまで,ポスト2015開発アジェンダに,①貧困の多層的な測定,②社会的及び経済的包摂性の一般的な視点を導入することを推進してきた。これらのメキシコによる提案は,ポスト2015サミットの第一次最終文書案に盛り込まれている。
(2)気候変動
(ア)メキシコにとって,気候変動との闘い及びその影響の緩和は国家としての約束事項である。地球温暖化の脅威が増す中,我々は機会を捉えて,決意をもって,共に行動を起こさなくてはならない。行動を起こさないことによるコストは,世界のGDPの20パーセント,つまり二酸化炭素の排出を制限するためのコストの10倍にまで達し得る。
(イ)メキシコでは,2012年に気候変動一般法(Ley General de Cambio Climatico)が公布され,2013年に今後40年間の緩和と適応の行動を規定した,気候変動に関する国家戦略(Estrategia Nacional de Cambio Climatico)が公表された。また,炭素税及び排出登録制度が導入された。国際協力の分野では,緑の気候基金(GCF)に1000万ドルを拠出しているほか,地球環境ファシリティ(GEF)に2000万ドル以上を拠出している。
(ウ)メキシコは,約束草案を提出した最初の開発途上国であり,2030年までに温室効果ガスを22%,ブラックカーボンを51%削減するとの非拘束的目標が示されている。
(3)薬物問題
(ア)薬物問題という世界的な問題に対処する最良の方法は予防であり,それは消費の防止だけではなく,薬物の不法市場が与えるすべての社会的損害を防止することである。
(イ)メキシコは,引き続き(この分野における)国際協力を強化していく。この問題を取り扱うために明2016年の国連麻薬特別総会開催に向けたイニシアティブを支援する。広範囲にわたる,開かれた,包摂的な議論を通じてのみ,過去数十年で得られた成果を評価し,その対応のための統合的な視点を定めることが可能となる。
(ウ)世界保健機関及び市民社会の参加によって,この課題についてより豊富な情報を扱い,包摂的な対話を実施するための適切な環境が醸成されることを信じている。
(4)移民問題
(ア)2013年だけで,世界の越境移民者数は2億3100万人を記録したが,メキシコの純移動率(注:一定期間における1000人あたりの移入民と移出民の差)は,ゼロパーセントに近づいており,本国に帰還するメキシコ人数は年々増加している。かかる状況において,メキシコは,安全で秩序立った,尊厳ある本国帰還,また,統合的及び生産的な社会復帰を促進するための措置を講じた。
(イ)国際移住機関(IOM)によれば,開発途上国への移民と先進国への移民はほぼ同規模であり,本首脳会合に出席している国の多くは,移民受入国,輩出国及び経由国として,移民に関係する課題に対処しなくてはならない。
(ウ)メキシコは,経由移民に関し,地域の共同責任及び人道的な観点を採用。医療機関網を有し,22ヶ月間で36,000人の移民に対して無料で診察を行った。また,南部国境地帯プログラム(programa Frontera Sur)を立ち上げ,既に11万枚の地域訪問者のカードと,15万枚の国境就労訪問者のカードを付与した。

 

5.第7回墨EUサミット
(1)12日,ペニャ・ニエト大統領は欧州理事会において,トゥスク欧州理事会議長及びユンカー欧州委員会委員長とともに第7回墨EUサミットを開催し,その後の共同記者会見において,現在の墨EU間の経済関係を規律している経済連携協定(Acuerdo de Asociacion Economica, Concertacion Politica y Cooperacion)を現代化するための行動を開始することで合意した旨述べた。
(2)同大統領は,15年前に締結された同協定を更新することで,①政治協調,②協力,そして特に,③貿易投資の条件という三本柱が刷新されることとなる,今般墨EUは電子商取引,貿易円滑化,エネルギー及び持続可能な開発といった新たな分野を協定の対象とし,同協定を更新するための意思に基づき,とるべき今後の行動指針を定めた共通ビジョン報告書をまとめた旨述べた。
(3)同大統領は,EUは全体として,対墨投資額第二位を誇り,累積対墨投資額は1210億ユーロ,つまりは1510億ドル以上になる,また,EUはメキシコにとって第三の貿易相手であり,その貿易量は640億ドルに上る旨言及しつつ,墨EU関係は非常に重要である旨述べた。
(4)これに対して,トゥスク欧州理事会議長は,EU墨間の経済連携協定の更新は,両者の連携を強化し,より野心的で,統合に資するものとする上で強固なベースとなるだろうと述べた。また,同議長は,メキシコはEUの戦略的パートナーであり,気候変動,貿易投資,人権,ポスト2015開発アジェンダといった分野で協力したいと考えている,世界第11位の経済大国であるメキシコとの関係はヨーロッパにとって非常に重要である旨述べた。さらに,同議長は,ウクライナの独立,主権及び領土的一体性に対するメキシコの支持を好意的に受け止める旨述べた。
(5)ユンカー欧州委員会委員長は,PNR(Passenger Name Record)問題に関し,EUは墨EU間のPNR協定妥結を望んでいる,当該問題はメキシコだけでなくEUにとっても非常に重要な問題であり,EU総務理事会が6月23日に関連交渉を開始する旨述べた。しかしながら,EU墨PNR協定の締結は,EU加PNR協定(のEU条約適合性)に関する意見が欧州司法裁判所(ECJ)より発出された後となる。

 

6.ペニャ・ニエト大統領のイタリア訪問
12日~15日,ペニャ・ニエト大統領は第2回EU-CELAC首脳会合に出席するためブリュッセルを訪問後,イタリアを公式訪問した。
(1)イタリア訪問日程概要
(ア)12日,ペニャ・ニエト大統領はミラノを訪問し,レンツィ伊首相とともに,ミラノ万博のメキシコ館を視察した。その後,両者は,墨伊ビジネス・フォーラムに出席し,ペニャ・ニエト大統領は両国の企業関係者を前に,メキシコが推し進めている構造改革について説明した。
(イ)15日,ペニャ・ニエト大統領はローマにおいてマッタレッラ伊大統領と会談を行ったほか,Ignazio Marinoローマ市長と会談を行った。また,ペニャ・ニエト大統領及びレンツィ首相は共同記者会見を実施し,両者の立ち会いの下,再生可能エネルギー,観光,航空宇宙,保健,警察協力といった分野における協力にかかる合意文書が署名された。
(ウ)ペニャ・ニエト大統領のイタリア訪問には,ミード外相,ルイス=マシュー観光相,ロブレス社会開発相,グアハルド経済相及びベガ・バハカリフォルニア州知事が同行した。
(2)マッタレッラ伊大統領との会談
(ア)15日,ペニャ・ニエト大統領はマッタレッラ伊大統領と会談を行い,両首脳は両国間の二国間対話及び国際社会の関心アジェンダを構成するテーマにつき,多岐にわたる議論を行った。
(イ)マッタレッラ大統領は,犯罪人引渡し及び司法共助に関する墨伊二国間条約を批准するための政令(Decreto)を近日中に署名する旨発表した。これら2つの条約は既に墨側で批准されているため,これによって両国による受諾が完了する。
(ウ)マッタレッラ大統領は,ペニャ・ニエト大統領政権が推進している構造改革プロセスを評価,特に,教育及びエネルギー分野の改革を強調した。また,同大統領は,気候変動,移民,法の執行といったグローバルな課題への対処に関するメキシコとの協力深化への関心を示した。
(エ)マッタレッラ大統領は,ペニャ・ニエト大統領に対し,メキシコで行われた中間選挙が,広範な市民による参加をもって,平和裡に実施されたことへの高い評価が示された。また,同大統領は,今次選挙の結果は,メキシコ国民の大半が改革プロセスを承認したことを示している旨述べた。
(3)合意文書
15日,両首脳の立ち会いの下,以下の合意文書が署名された。
(ア)墨観光省-伊文化財・文化活動・観光省間のMOU
(イ)墨CFE-伊エネル社(Enel SpA)間のスマート・グリッド及び再生可能エネルギーに関する協力のためのMOU
(ウ)墨社会保険庁(IMSS)-伊国家社会保健庁間の技術協力に関するMOU
(エ)墨連邦検察庁(PGR)-伊内務省公共治安局の間の警察協力に関するMOU
(オ)墨伊両国宇宙庁間の同分野における協力に関する共同宣言
(4)共同記者会見
(ア)15日に開催された共同記者会見において,ペニャ・ニエト大統領は,概要以下のとおり述べた。
(a)メキシコのエネルギー改革の枠組みにおいてクリーン・エネルギー分野における協力・投資の機会が開かれており,本日署名した合意は,再生可能エネルギーを促進するだろう。
(b)ミラノ-メリダ間の直行便開設のように,両国間の接続を向上することにより観光分野を支援する。明2016年より,アリタリア航空がメキシコとの便を再開させる予定。
(c)メキシコにおいて航空宇宙産業は,一定の年次成長率を維持している産業の一つであり,イタリアによる同分野における経験は,メキシコにおいて同産業を活性化し構築していく上で重要。
(d)メキシコが行っている中小企業支援策を支持・支援する旨のレンツィ政権による揺るぎない決定に謝意を表する。第1回伊・中南米諸国フォーラムの開催を歓迎するとともに,本年下半期に第2回会合を開催する予定。
(イ)これに対して,レンツィ首相は,ミラノで開催された墨伊ビジネス・フォーラムにはイタリアの重要な企業が参加,これはイタリア企業がメキシコへの投資を望んでいると同時に,伊がメキシコ経済からのいかなる形態の投資も受入れる体制が整っていることの表れである旨述べた。

 

7.メキシコ議員団のキューバ訪問
(1)25~28日にかけて,第15回墨玖議会間協議会合に参加するため,バルボサ上院議長をはじめとするメキシコ議員団がキューバを訪問した。同議長には,サモラ上院副議長,サンチェス上院副議長,ゴメス・デル・カンポ上院ラテンアメリカ・カリブ外交委員長,ガンボア制度的革命党(PRI)上院会派長,バルトレット労働党(PT)上院会派長,プエンテ緑の党(PVEM)上院会派長ほかの連邦上院議員,また連邦下院議会代表としてガリンド議員が同行した。
(2)6月26~27日にかけて,墨玖議会間協議会合がハバナで開催された。右概要は以下のとおり。
(ア)バルボサ議長の開会式挨拶概要
両国関係が議会間のみならず,政府間でも良好となっており,教育,医療,エネルギー等の分野における協力が進んでいることを嬉しく思う。今日,中南米は地域の発展に向けて一致して取り組むべきであり,政府,企業セクターと協力して,キューバと地域統合に向けて取り組んでいきたい。我々は行動の時を迎えており,貧困や不平等と闘い,団結した中南米という理想に向けて,前進していきたい。
米キューバ関係については,メキシコは世界中の国と共に,米州を半世紀にわたり分断してきた歴史的壁を崩すという,ハバナ,そしてワシントンの決定を歓迎した。他方,メキシコは,キューバの歴史的同盟国であり,米国議会に対しては,引き続き対キューバ経済制裁に反対する旨を主張していく。
(イ)ゴメス・デル・カンポ上院ラテンアメリカ・カリブ外交委員長発言概要
今般,両国議会間協議会合が歴史的なタイミングで開催されることを嬉しく思う。キューバは,変革の時を迎えており,メキシコはその改革が成功するよう共に進んでいきたい。キューバにおけるマリエル開発特区や新外国投資法の推進は,発展と雇用創出に資する投資計画や技術移転を活性化するものである。他方,米キューバ関係については,メキシコは両者の立場を調整する仲介役として役割を果たしていきたい。
(ウ)キューバ側からは,ラソ人民権力全国議会議長が,「両国は,二国間関係を再活性化(relanzamiento)するとの政治的意思を実現するべく,引き続き関係緊密化に取り組んでいく(当館注:墨玖関係は,2000-12年の国民行動党(PAN)政権時代に冷却化,ペニャ・ニエト政権は関係再活性化に取り組んでいる)。両国間には歴史的絆があり,両国は政治的多様性の下に中南米カリブ地域が統合を進めていけるよう取り組んでいくことが求められている。」等述べたほか,レアル玖墨友好議連会長(歴史家でもある)が発言において,メキシコを兄弟国の兄と位置づける発言を行った。
(3)28日,バルボサ議長はディアスカネル国家評議会副議長を表敬した。同議長には,メキシコ側よりブレメル駐キューバ墨大使が,キューバ側よりラソ議長及びフェレル同外交委員長が同行した。バルボサ議長は,第15回両国議会間協議会合の結果を報告するとともに,同議会における合意事項をメキシコ議会のアジェンダとして着実に実施していく意向を示した。ディアスカネル副議長は,同会合の合意事項の着実な履行を求めると共に,メキシコが多様な議会内勢力により構成された議員団を派遣したことを評価した。

 

8.ミード外相のグアテマラ訪問
26日,ミード外相は,同日胆嚢炎で入院中のペニャ・ニエト大統領の代理としてグアテマラを訪問し,同国アンティグアで開催された第15回トゥストラ対話と協調メカニズム首脳会合に出席した。
(1)ミード外相演説概要
(ア)先程(26日),入院中のペニャ・ニエト大統領はモリーナ・グアテマラ大統領と電話会談を行い,トゥストラ対話と協調メカニズムの議長国を務めたモリーナ大統領のイニシアティブを評価すると共に,メキシコとして同イニシアティブを重視していく姿勢を改めて示した。
(イ)同メカニズムは,政治対話の場としてのみならず,メソアメリカ地域の建設という観点から,着実に機能しているフォーラムである。同メカニズムは,域内の移民問題を議論する重要な場となっている。太平洋回廊の整備については,65%の資金が確保されたことが確認された。送電網の統合は前進しており,電源についても,天然ガス発電を強化して多様化していくことが確認された。また,メソアメリカ・インフォメーション・ハイウェイの実現に向けて取組みを強化することも確認された。この他,医療,飢餓対策,そして住宅整備の面でも着実な前進が見られている。
(ウ)本メカニズム加盟諸国は,モレノIDB総裁の再選を支持する。
(2)首脳会合の評価
(ア)今般,トゥストラ対話と協調メカニズム加盟10カ国は,同メカニズムを一層促進していくことで合意した。
(イ)首脳会合においては,メソアメリカ諸国インフラ基金の重要な役割が強調された。同基金を通じて,メソアメリカ国際道路網を構成する1万3千キロの道路の改修が行われた。特に太平洋回廊については,域内貿易の95%が通行する重要インフラであり,その改修工事を引き続き進めていくことが確認された。
(ウ)域内電子市場(Mercado Electrico Regional(MER))の導入については,昨年1年だけで,域内通関コストが3分の1に抑えられるなど成果があった。また,MERにメキシコ及びコロンビアが加盟することが確認された。この他,中米送電システム(SIEPAC)の完成に向けて取り組むこと,また,メキシコ-中米北部3カ国間のガスパイプライン敷設についても合意が為された。
(エ)域内移民協議については,その重要性が強調されると共に,責任の共有,協力,人権尊重の観点から,同協議を充実していく旨が合意された。

 

【参考】


●「トゥストラ対話と協調メカニズム」は,域内の対話と協力を促進するべく,メキシコ政府のイニシアティブにより,1991年に発足した。同年1月に第1回首脳会合をチアパス州トゥストラ・グティエレス市で開催。なお,当初の加盟国はメキシコおよび中米諸国(含:パナマ)であるが,2007年にコロンビア及びドミニカ(共)が加盟した。


●同メカニズムの内容としては,2001年にフォックス政権下で立ち上げられた域内総合開発計画「メソアメリカ計画(注:2007年にプエブラ・パナマ計画から改称)」が有名であるが,この他,メソアメリカ協力プログラム(1998年に発足した技術協力中心のプログラム),域内移民協議(1996年に発足した域内移民協議メカニズム),及びメソアメリカ諸国インフラ基金(2012年IDB総会で発足)の計4本の柱がある。


●墨外務省によれば,近年,同メカニズムの下,メソアメリカ国際道路網を構成する1万3千キロの道路の改修が行われたほか,医療,環境,教育,防災,観光,農業,漁業の分野で9千名の専門家が研修を受けた。こうした取組みを踏まえ,過去12年間を通じて,域内貿易は10倍に拡大。なお,本メカニズム加盟国は,中南米カリブ地域の35%のGDP,同37%の国土を占める。2014年,同地域における直接外国投資は,中南米カリブ全体の30%を占めた。

 

9.フェリペ6世スペイン国王夫妻の国賓訪問
(1)主な日程
6月29日:英雄少年の碑献花
カンポ・マルテ基地(メキシコ市内)における歓迎式典
メキシコ市栄誉賓客授与
ペニャ・ニエト大統領夫妻主催晩餐会
同30日:西墨企業家フォーラム
連邦上院議会(常設委員会)における演説
メキシコ国立自治大学(UNAM)でのスペイン語能力電子評価サービスについ      
ての合意
7月 1日:サカテカス州訪問(ペニャ・ニエト大統領夫妻同行)

(2)主なスピーチ
(ア)カンポ・マルテ基地における歓迎式典
(a)ペニャ・ニエト大統領
スペインとは,歴史的且つ不可分な関係がある。言語,伝統,名前,家族をはじめ,メキシコのあらゆる面にスペインが息づいている。だからこそ,今般,スペイン国王として米州大陸における初の国賓訪問先として,当国を選んでいただき感謝している。また国王陛下は,皇太子殿下として何度となく当国を訪問されており,当国を良く御存知である。2012年には,自分(「ペ」大統領)の就任式に参列いただき,昨年6月のスペイン訪問の際にもお会いした。
また,国王陛下の当地訪問は,両国間の戦略的関係の上で重要な意味を持つ。スペインはメキシコにとって,欧州で第2位の貿易相手国であり,第2位の対墨投資国である。当国におけるスペイン企業は5千社に上り,メキシコの雇用創出と発展に大きく貢献している。特に,これらスペイン企業は,金融サービス,インフラ開発,電気通信,製造業等の当国の成長にとって鍵となるセクターで活躍している。他方,昨年だけで,当国を訪問したスペイン国民は30万人に上り,スペインを訪問したメキシコ国民は32万人に上るなど,観光は両国社会を結びつける重要な役割を果たしている。この他,両国間には,文化・学術協力,イベロアメリカ地域および国際場裡における協力など,幅広いアジェンダが存在している。
(b)フェリペ6世国王
今般,米州大陸における初の国賓訪問として貴国を訪問できることを嬉しく思う。王位継承後の早期の貴国訪問に意を用いてくれたペニャ・ニエト大統領に感謝する。
両国の関係は,政治,貿易にとどまるものではなく,歴史的,且つ幅広い人的交流に裏付けられた強固な関係である。今般の訪問を通じて,政府,文化,学術,経済関係者や,在留スペイン人,そして貴国社会の一部となっているスペイン系住民とお会いすることを楽しみにしている。メキシコ,そしてスペインを合わせた1億7千万人の人々は,多くの共通点を有しており,共に進んでいく潜在性と力を有している。
(イ)ペニャ・ニエト大統領夫妻主催晩餐会におけるフェリペ6世国王挨拶
米州大陸における初の国賓訪問として貴国を訪問できることを嬉しく思う。
今日,我々の両国は,政治,社会,経済の変革の時を迎えている。スペインは,メキシコにおける構造改革を踏まえた変革のプロセスに特別の関心を有しており,この取組みは貴国の政治的成熟を示すものであり,今後の持続的成長を保障するものと確信するとともに,スペインとしても,メキシコ国民の更なる繁栄につながる同プロセスを共に歩みたいと考えている。
またテロとの闘い,犯罪組織との闘い,人身取引,資金洗浄,サイバーセキュリティ等の重要な課題について,両国間において活発な交流が行われていることを嬉しく思う。開発協力の面においても,水平協力や三角協力が進んでおり,両国は中米カリブ地域の発展に向けて協力を進めている。
メキシコは国際場裡における主要アクターであり,そのビジョンは,貴国を欧州,米州およびアジア太平洋の自由貿易ネットワークの中心に位置づけている。こうした中,価値観や利益を共有すると共に,二国間での緊密なコミュニケーションを維持している貴国とは,積極的に国際場裡の協力を進めていきたい。この観点から,国連安保理非常任理事国選挙における貴国の支持に深く感謝したい。また,貴国は先の墨EU首脳会合の成功に見られるとおり,対EU関係におけるスペインの戦略的パートナーであり,また,昨年ベラクルスで開催されたイベロアメリカ首脳会合の成功は,イベロアメリカの国際的プレゼンスを向上させ,我々の国民の生活を向上するべく,共に取り組んでいく姿勢を示すことが出来たものと思う。また,我々はメキシコの太平洋戦略を注視しており,メキシコの支援の下,太平洋同盟のオブザーバーとして,協力を積極的に進め,関係強化を図っていきたいと考えている。
明30日,企業関係者との会合が予定されているが,既に700社を超える企業が同会合に参加すると聞いており,スペイン企業とメキシコ企業は事業においても良いパートナーであることが示されるだろう。また,両国には合わせて1億7千万人のスペイン語の話者がおり,われわれ両国には,この共通言語を社会統合,経済発展の推進力,そしてイベロアメリのアイデンティティとしていく責任がある。この観点から,明日30日,メキシコ国立自治大学(UNAM),サラマンカ大学およびセルバンテス文化センターの間で,スペイン語能力を電子的に評価するシステム(SIELE:Servicio Internacional de Evaluacion de la Lengua Espanola)が発表されることは喜ばしい。
(ウ)西墨企業家フォーラム
(a)ペニャ・ニエト大統領
スペインとメキシコは兄弟国であり,歴史的,文化的,社会的な強い絆を有するのみならず,強固な経済関係を有している。両国の経済規模は似通っており,両国は自由経済を信じている。だからこそ,メキシコの現状を説明し,我々が如何に変革を進め,両国関係に如何なる好機があるのか説明したい。
まず,メキシコは1934年以来,秩序ある政権交代を実現している,政治的安定性を有する国である。また,我々の経済は世界第15位であり,同第14位のスペインと似た規模を有している。そして,我々のマクロ経済は極めて安定しており,現下の不安定な世界において,この安定性を維持していくことは,政府にとって優先課題となっている。我々はマクロ経済の安定性こそ,我々の強さであると考えており,確固とした意思を持って,その安定性を維持している。
他方,メキシコは開放経済を重視しており,多様な協定により,10億人以上の市場にアクセスを有している。また,メキシコは若い国であり,国民の半数以上は27歳以下である。そして,毎年10万人以上のエンジニアを輩出している国でもある。我々は先端的製造業の分野で指導的立場にあり,航空産業など多様な分野で取組を進めている。また,昨年,我々は再び世界で最も訪問者数の多い10カ国に入った。観光客数では,いまだスペインに及ばないが,我々は米州で2番目に訪問者数の多い国であり,スペインから一層の観光客が訪れることを期待している。
そして,メキシコは変革のプロセスにある国である。我々は,為すべきことを理解していたが,構造改革を実現するための決意が足らなかった。これを現実のものとしたのが,「(主要各党による政策合意である)メキシコのための協約」であり,その実現は,我々の政治的成熟を示すとともに,12件の重要な構造改革を実現することになった。(以下,個々の改革につき説明)こうした構造改革により,我々は将来に向けて大きな潜在性を有することとなった。
(b)フェリペ6世国王

  両国の経済関係は90年代中頃から本格的に深化してきており,20年の時を経て,メキシコはスペインにとって主要経済パートナーとなった。今日,両国間の貿易は約90億ユーロに達しようとしており,スペインにとってメキシコは,イベロアメリカで1位,全世界で15位の輸出先となっている。メキシコにとってスペインは,EUで第1位,全世界で4位の輸出先である。投資についても,スペインはメキシコにおける第2位の投資国であり,1999年以降の投資額は累計500億ドルに上り,進出企業は5,300社を超える。これら企業は,富と雇用を創出し,メキシコ社会の一部と化している。他方,メキシコの対スペイン投資も拡大しており,非欧州諸国では第2位,全世界で第6位の投資国となっている

 

 

(了)

 

 

 

 

 
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