メキシコにおける「鳥インフルエンザ」の状況
メキシコにおける「鳥インフルエンザ」の状況
 

 近年、アジアを中心に世界各国に広がりを見せている「鳥インフルエンザ」について、世界各国等でその対策が取られている状況にありますが、ここメキシコにおいても「低病原性鳥インフルエンザ」については、毎年発生が確認されております。

 ついては、メキシコにおける「鳥インフルエンザ」の状況について、御心配や御関心のある方に対して、当館で承知している関連情報をここに提供させて頂きます。

 なお、当該情報については、メキシコの農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)や日本の厚生労働省の関係機関の情報を基に作成してありますので、詳細事項の確認については、当該機関のホームページ等を参照頂くようお願い申し上げます。


1.メキシコで発生している鳥インフルエンザの特徴
メキシコで近年発生している鳥インフルエンザは「低病原性鳥インフルエンザ」のものであり、今般、世界中で広がりを見せている「高病原性鳥インフルエンザ」とは毒性の程度が異なります。

(1) 高病原性鳥インフルエンザとは。
感染した鳥が死亡したり、全身症状を発症したりと、特に強い病原性を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼びます。鶏、七面鳥、うずら等が感染すると、全身症状をおこし、神経症状(首曲がり、元気消失等)、呼吸器症状、消化器症状(下痢、食欲減退等)等が現れ、鳥類が大量に死亡することもまれではありません。

(2)低病原性鳥インフルエンザとは。
 一方、時に毛並みが乱れたり、産卵数が減ったりするような軽い症状にとどまる感染を引き起こすものは、「低病原性鳥インフルエンザ」と呼びます。低病原性のものは、例年のように集団発生が報告されていますが、高病原性のような被害は報告されていません。しかし、1983年にペンシルバニア州(米国)で発生したH5N2型鳥インフルエンザウイルスは、はじめは低病原性であったものが、鶏間に伝播している間に高病原性に変異したという事例もあります(注:日本の「家畜伝染病予防法」などの法律では、病原性の高低に拘わらず全てのH5あるいはH7亜型の鳥インフルエンザウイルスは「高病原性」のカテゴリーに含まれる場合もあります)。
 なお、メキシコの農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)等からの情報提供によれば、メキシコにおいても鳥インフルエンザの発生や伝播については大変神経を尖らせており、高病原性鳥インフルエンザはもとより、低病原性鳥インフルエンザの発生が確認された場合であっても、発生した養鶏場等の鶏の殺処分、ウイルスの拡大防止のためのワクチン接種や発生地域の鶏由来の製品の移動制限などの鳥インフルエンザに対処するための緊急プログラムが連邦政府、州政府や養鶏生産者による組合等により行われることになっています。


2.メキシコにおける鳥インフルエンザの発生状況
(メキシコの農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)によれば、次のとおりです。)

(1)高病原性鳥インフルエンザの発生数
 1994年~1995年に発生があった以降はない。 

(2)低病原性鳥インフルエンザの発生数
 2000年: 3件
 2001年: 4件
 2002年:15件
 2003年:11件
 2004年: 9件
 2005年:49件(2005年9月20日現在)


3.鶏肉、鶏卵の安全性
 日本の国立感染症研究所感染症情報センター等の情報によれば、食品としての鳥類(鶏肉や鶏卵)を食べたことによって、ヒトが鳥インフルエンザに感染した例は今まで報告がありません。仮に、感染鳥やその卵が万一食品として市場に出回り、それを食べて消化管にウイルスが入ったとしても、ヒトの腸管には鳥インフルエンザのリセプター(感染するための受け皿)は無く、食品としての鶏肉、鶏卵などからの感染はないと考えられます。なお、ウイルスは適切な加熱により死滅しますので、心配な場合は加熱調理してください。WHOは、一般的な食中毒の防止方法として、食品の中心温度を70℃に達するように加熱することを推奨しています。

注:鳥からヒトへの鳥インフルエンザの感染は、これまでのところ、香港では店頭での生きた鶏の小売りが、ベトナムやタイでは家庭の裏庭で鶏が飼われているなどの日常的な鳥との接触が、オランダでは病鳥の防疫業務に携わったなど、日常的あるいは密接な感染鳥への接触が感染の原因と考えられています。一般的には、ヒトが鳥インフルエンザウイルスの感染を受けるのは、病鳥と近距離で接触した場合、又はそれらの内臓や排泄物に接触するなとした場合が多いと考えられます。


4.参考になるホームページ
 ・国立感染症研究所感染症情報センターによる「鳥インフルエンザに関するQ&A」
 ホームページアドレス:http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/

 

5.参考資料

 メキシコにおける鳥インフルエンザの発生地域

 

 
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