メキシコ政治情勢(5月)

 
 

 

メキシコ政治情勢(5月)

 

 

〈概要〉
内政では,1日,ハリスコ州グアダラハラ市やプエルトバジャルタ市等州内25の自治体にまたがる39カ所及び隣接するグアナファト州,コリマ州,ミチョアカン州において,犯罪組織「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」によるとみられる襲撃により,建物や複数の車両が燃やされ,一時的に道路が封鎖される事態が発生した。22日,ミチョアカン州タンウアト市において,連邦警察特殊部隊と犯罪組織「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」と見られるグループが衝突,42名の犯罪組織構成員と警官1名が死亡する事件が発生した。29日,公共教育省はペニャ・ニエト政権による教育改革で定められた基礎教育及び後期中等教育(高等学校及び専門学校)の教職員に対する業績評価試験,教員採用試験を無期限中止する旨,プレスリリースで発表した。
外交では,6日~8日,キンタナ・ロー州リビエラ・マヤで世界経済フォーラム中南米会合が開催され,日本から上川法務大臣及び西村内閣府副大臣が出席した。7日,ペニャ・ニエト大統領は,世界経済フォーラム中南米会合に出席するためリビエラ・マヤを訪問したマルテリー・ハイチ大統領と会談を行った。8日,サントス・コロンビア大統領は,ペニャ・ニエト大統領の招待に応じてメキシコを国賓訪問した。12日,ミード外相,ルイス=マシュー観光相及びローゼンウェイグ経済次官がブラジルを訪問した。18日~20日,ミード外相は,墨レバノン外交関係樹立70周年の枠組みで,メキシコ外相としては15年振りにレバノンを訪問した。21日~22日,ミード墨外相は,ソウルにおいて開催された第5回MIKTA(墨,インドネシア,韓国,トルコ,豪州)外相会合に出席した。25日,ニーニスト・フィンランド大統領がメキシコを国賓訪問した。26日~27日,ルセーフ伯大統領がメキシコを国賓訪問した。

 

 

〈内政〉


1.ペニャ・ニエト大統領の資産公開に係る虚偽疑惑
28日,ロイター通信がペニャ・ニエト大統領による資産の不正申告の可能性につき報道。これに対して,サンチェス大統領府広報官が反論を行った。
(1)ロイター記事
ペニャ・ニエト大統領は,2013年,透明性向上と説明責任強化の一環として実施した資産申告において,今回問題となった不動産を父親からの「贈与」と申告。それ以降,2度この申告を更新している。ロイターが確認した文書によると,ペニャ・ニエト大統領は保養地として名高いメキシコ州バジェ・デ・ブラボ市にある1,000平方メートルの不動産を,1988年,第三者から1,120万「旧」ペソ(当時のレートで約5,000ドル相当)で購入したが,資産申告書では同不動産は父親からの贈与であり,その価値は1万1,200「旧」ペソ(約5ドル相当)と記載されている。申告書には他8つの不動産も掲載されており,このうち5つが贈与となっているが,これら5つの不動産が正確に申告されているかどうか確認できていない。

(2)サンチェス大統領府広報官反論(大統領府HPに掲載されたロイター記者宛書簡)
当該不動産は,ペニャ・ニエト大統領の父親が1,120万「旧」ペソでペニャ・ニエト大統領名義にて購入し,贈与したものである。ロイターの記事では,1,120万「旧ペソ」が現在の1万1,200ペソ(注:ペニャ・ニエト大統領の資産申告書は現在のペソで行われている)に相当することが言及されておらず,また,同記事が行った「旧」ペソの対ドル為替相場には間違いがあると共に,不動産価格の上昇,インフレ,また当時と現在のペソの対ドルレートの変化を考慮してない点からも,同記事で行われた当該不動産の評価額は正確さに欠け,事実を歪曲するものである。当該不動産に関し,ロイターの情報公開請求に応じる形で,大統領府は電話,電子メール等により再度にわたり説明を行うとしたにもかかわらず,同記者がその説明を受ける姿勢を示さなかったこと,また,同記事において,大統領府が同社からの情報公開請求に応じなかったと事実をねじ曲げ,批判していることは遺憾である。

 

2.公共教育省による教職員への業績評価試験,教員採用試験の無期限中止の発表
(1)29日,公共教育省はペニャ・ニエト政権による教育改革で定められた基礎教育及び後期中等教育(高等学校及び専門学校)の教職員に対する能力評価試験,教員採用試験を無期限中止する旨,プレスリリースで発表した。公共教育省は,無期限中止決定の理由として,「評価プロセスにおいて考慮すべき新たな要素のため」と説明した。
(2)教職員への評価試験を監督する全国教育評価庁は,今回の決定は,教員の採用,昇進,雇用継続の決定における教員評価を義務づけた憲法第3条に違反するものであると公共教育省を批判,連邦政府に対し,教育改革を後退させないよう求めた。また,メキシコの教育問題に取り組むNGO団体「Mexicanos Primeros」のクラウディオ・ゴンサレス代表は,子供が良質な教育を受ける権利よりも,選挙に関わる政治問題が再び優先された,教育労働者全国協議会(CNTE)の脅しに公共教育省が屈したということ以外に,公共教育省の決定を説明できる理由はないと述べ,公共教育省を強く批判した。

 

3.2015年中間選挙プロセスにおける候補者の殺害事件等
 6月7日に投票を迎える中間選挙の候補者及び政党関係者が被害者となる殺人,誘拐,脅迫等,中間選挙プロセス期間中における暴力事件の発生件数は70を超え,メキシコ市,プエブラ州,オアハカ州,ミチョアカン州,ゲレロ州,タバスコ州,サン・ルイス・ポトシ州,チワワ州で,5月末現在,候補者,政党関係者の計19名が殺害された。
【5月中に発生した主な事件】
(1)1日,ゲレロ州チラパ市にて,ウリセス・ファビアン・キロス制度的革命党(PRI)-緑の党統一同市長候補が殺害された。
(2)3日,ゲレロ州イスカプサルコ市にて,選挙活動を行っていた新同盟党の党員4名が殺害された。
(3)14日,ミチョアカン州ユレクアロ市にて,国家再生運動(Morena)の同市長候補,エンリケ・エルナンデス・サルシド氏が殺害された。

 

 

〈治安〉


1.ハリスコ州等における犯罪組織による道路封鎖等の発生
(1)1日,ハリスコ州グアダラハラ市やプエルトバジャルタ市等州内25の自治体にまたがる39カ所において,犯罪組織「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」によるとみられる襲撃により,建物や複数の車両が燃やされ,一時的に道路が封鎖される事態が発生した他,グアダラハラ市南西約250kmの山間部では,治安維持活動のため飛行していた軍のヘリコプターが武装集団による銃撃により緊急着陸を行い,搭乗していた18名が死傷した。また,ハリスコ州に隣接するグアナファト州,コリマ州,ミチョアカン州でも,同様に車両が燃やされる事態が発生した。本事件により,7名(軍人3名,犯罪組織メンバー3名,民間人1名)が死亡及び19名が負傷(連邦当局関係者13名,民間人5名,ハリスコ州警察1名)し,犯罪組織のメンバーとみられる容疑者19名が逮捕された。
(2)ルビド国家治安コミッショナーは,今般の一連の事件は,連邦治安当局が同日に開始したハリスコ州で活動する犯罪組織の壊滅オペレーションに対する,犯罪組織の反応である旨述べ,他犯罪組織を壊滅してきたときと同様に,同州で活動する犯罪組織撲滅のために,連邦政府は取り得るあらゆる措置を講じる旨述べた。
(3)本事案発生を受け,ハリスコ州政府は同日,治安情勢に係る非常事態宣言(Codigo Rojo)を発令するとともに,サンドバル知事が緊急記者会見を行い,事態の把握に努める必要な措置を講ずる旨述べ,市民に対して噂等に惑わされず,冷静に対応するよう呼びかけた。なお非常事態宣言は,3日に解除された。

 

 

2.ミチョアカン州における銃撃戦の発生
(1)22日,ミチョアカン州タンウアト市において,連邦警察特殊部隊と犯罪組織「カルテル・デ・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」と見られるグループが衝突,42名の犯罪組織構成員と警官1名が死亡する事件が発生した。
(2)同事件は,メキシコーグアダラハラ間高速道路に近い地点において発生した。ハリスコ州境を巡回中だった連邦警察の車列が襲撃を受け,その後,銃撃戦は1時間近くにわたり続いた。犯罪グループは襲撃に際して,ロケットランチャー,手榴弾等の高度な武器を使用した。
(3)5月25日,ルビド国家治安コミッショナーは,ラジオ等のインタビューにおいて,概要以下のとおり述べた。
(ア)5月22日,ミチョアカン州タンウアト市の農場において不法占拠の通報があり,現場を連邦警察,軍等で捜査していたところ,不審車両を発見,同車両より発砲されたため,これを追撃したところ,犯罪集団は同農場に逃げ込み,銃撃戦が発生した。当初,警察側は41名で対応していたが,途中で増員を行い,計100名で対処した。
(イ)本作戦の死者は,犯罪組織側の42名と警官側1名の計43名。42名の一部遺族からは,治安当局による虐殺の訴えが出されているが,作戦に参加した治安当局関係者の事情聴取及び科学捜査は既に終了しており,その行動の正当性は確認されている。また,42名のうち,27名の身元は既に確認されており,ハリスコ州出身が18名,ミチョアカン州が3名,メキシコ市が2名,ソノラ州,コアウイラ州及びタバスコ州がそれぞれ1名だった。

 

 

〈外交〉


1.世界経済フォーラム中南米会合
6日~8日,キンタナ・ロー州リビエラ・マヤで世界経済フォーラム中南米会合が開催され,日本から上川法務大臣及び西村内閣府副大臣が出席。主催国であるメキシコからは,ペニャ・ニエト大統領の他,ミード外相,グアハルド経済相,ビデガライ大蔵公債相,ルイス=マシュー観光相等の主要閣僚が出席した。

 

 

2.マルテリー・ハイチ大統領の訪墨
(1)7日,ペニャ・ニエト大統領は,世界経済フォーラム中南米会合に出席するためリビエラ・マヤを訪問したマルテリー・ハイチ大統領と会談を行い,二国間協力,経済関係,地域課題等の二国間アジェンダの主要テーマに関する検討を行った。
(2)両首脳立ち会いの下,グアハルド墨経済大臣とJude Hervey Dayハイチ産業貿易大臣との間で,投資の相互促進・保護に関する協定が署名された。両首脳は,両国間の貿易・投資を拡大させるためのスキームを活用する必要性につき一致。今回署名された協定は,ハイチにとって中南米カリブ諸国と締結した初の投資促進・保護協定である。

 

3.サントス・コロンビア大統領の国賓訪問
8日,サントス・コロンビア大統領は,ペニャ・ニエト大統領の招待に応じてメキシコを国賓訪問したところ,ポイントは以下のとおり。


【ポイント】


●コロンビア政府及び墨政府は,両国の関係を戦略的なレベルに引き上げるためのMOUを署名し,政治,経済,貿易,観光,文化,教育,移民,技術科学協力といった様々な分野において二国間関係をさらに強化していくことに合意。


●両国の企業家,学者等から構成され,長期的な協力の観点から新たな機会が存在する分野やセクターを特定することをマンデートとして有する,コロンビア墨戦略委員会(Comite Estrategico Colombo-Mexicano)の創設に合意。


●今回のサントス大統領の国賓訪問に際し,両首脳の立ち会いの下,以下の合意文書の署名が行われた。

    • 墨コロンビア間の戦略的関係(Relacion Estrategica)の設立にかかるMOU
    • 両国外務省間の学術・外交分野の協力にかかる合意
    • 墨経済省-コロンビア商工観光省間のサプライ・チェーン分野の協力にかかるMOU
    • 墨観光省-コロンビア商工観光省間の観光分野の協力に関するMOUのフォローアップとしての,2015-16年の具体的協力プログラム
    • 墨大学高等教育機関連盟(ANUIES)-コロンビア大学連盟(ASCUN)間のLOI(意図表明文書)
    • 墨連邦消費者庁(Procuraduria Federal del Consumidor)-コロンビア産業・通商監督庁(Superintendencia de Industria y Comercio)間の消費者保護政策に関するMOU

    4.ミード外相,ルイス=マシュー観光相ほかのブラジル訪問

    12日,ミード外相,ルイス=マシュー観光相及びローゼンウェイグ経済次官は,墨伯間の対話及び政治協力を推進し,両国の経済関係を強化し,新たな協力につなげるという両国政府のコミットメントにかかるフォローアップを行うため,ブラジルを訪問した。また,26日~27日のルセーフ伯大統領の国賓訪墨の準備を行った。

     

    5.ミード外相のレバノン訪問
    (1)18日~20日,ミード外相は,墨レバノン外交関係樹立70周年の枠組みで,メキシコ外相としては15年振りにレバノンを訪問し,同国との政治対話及び経済関係を強化し,中東におけるメキシコのプレゼンスを再確認した(ゴンサレス・ディアスProMexico総裁,Guillermo Ruiz de Teresa通信運輸省港湾・海運担当調整官が同行)。
    (2)ミード外相は,サラーム(Tamman Salam)レバノン首相を表敬訪問し,両国が二国間関係を強化するために行ったコミットメントを再確認した。また,両者は二国間関係の強化において,50万人以上の在メキシコ・レバノン系コミュニティが果たす役割に言及し,両国の歴史的な繋がりが政治対話を支える不可欠な要素であり,貿易関係の強化に更なる正当性を与える旨強調した(注:ミード外相はレバノン系)。
    (3)ミード外相は,バシール外相と会談を行い,両外相は共通の関心事項について議論を行い,現在の中東情勢にかかる分析を行った。両外相は両国の在外自国民コミュニティを最大限活用するため,同分野におけるベストプラクティスの共有のための協力スキームの立ち上げに合意したほか,バシール外相が2月に訪墨した際に締結したMOUに基づき,在外自国民の支援プログラムの立ち上げを発表した。

     

    6.ミード外相のMIKTA第5回外相会合への出席
    (1)21日~22日,ミード墨外相は,ソウル(韓国)において開催された第5回MIKTA(墨,インドネシア,韓国,トルコ,豪州)外相会合に出席し,尹・韓国外交部長官,チャヴシュオール・トルコ外相,ビショップ豪外相,Hassan Kleibインドネシア特使(外相は欠席)とともに,MIKTAが推進している協力プロジェクトに関する分析を行った。
    (2)MIKTA外相及び特使は,国連安保理改革,テロとの闘い,東南アジアにおける移民情勢,サイバーセキュリティ,朝鮮半島情勢,中南米の成長見通し等の様々な国際アジェンダについて対話を行った。
    (3)国連平和維持活動(PKO)に関し,MIKTA外相及び特使は,ベストプラクティスを共有するために,対話と協力を強化していくことで合意した。また,韓国,インドネシア,トルコ及び豪州の代表は,昨2014年,ペニャ・ニエト大統領が行ったメキシコのPKOへの漸進的な参加の発表を歓迎した。

     

    7.ミード外相の韓国訪問(二国間会談等)
     21日~22日,ミード墨外相は第5回MIKTA(墨,インドネシア,韓国,トルコ,豪州)外相会合に出席するため,また,MIKTA各国との一連のバイ会談を実施するために韓国を訪問した。
    (1)墨韓関係
    (ア)21日,ミード外相は朴大統領を表敬訪問し,MIKTAの展望,また,開発,協力,マルチのフォーラムにおける対話といった分野において似通ったビジョン(visiones similares)を有しているMIKTA5カ国による対話強化の必要性について協議した。
    (イ)22日,ミード外相は尹・韓国外交部長官とともに,墨韓政策協議メカニズム(Mecanismo de Consultas Politicas)第6回会合を開催し,①戦略的な特徴を有する二国間関係の強化,及び②両国ハイレベルによるコンタクトの機会を増やす点で合意した。
    (2)墨豪関係
    22日,ミード外相はビショップ豪外相とともに,二国間協議メカニズム(Mecanismo de Consultas Bilaterales)第4回会合を開催し,墨豪の政治対話が良好な水準に達しており,明年に墨豪外交関係樹立50周年を迎えるにあたり理想の枠組みが形成されている旨述べた。
    (3)墨トルコ関係
    21日,ミード外相はチャヴシュオール・トルコ外相と会談し,本2015年2月のエルドアン・トルコ大統領の国賓訪墨以来となる二国間対話を行った。両外相は,特に二国間の法的枠組み強化(注:墨トルコFTA交渉)をはじめとする,過去2年間の二国間関係の重要な進展を強調した。

     

    8.ニーニスト・フィンランド大統領の国賓訪問
    25日~26日,ニーニスト・フィンランド大統領がメキシコを国賓訪問したところ,概要は以下のとおり。
    (1)25日,ニーニスト・フィンランド大統領はメキシコを国賓訪問し(夫人同伴),国立宮殿において,歓迎式典,ペニャ・ニエト大統領との会談,MOU署名式,ペニャ・ニエト大統領夫妻主催午餐会に出席した。
    (2)26日,ニーニスト大統領は,マンセラ・メキシコ市長と会談,また,連邦議会常設委員会が開催した特別セッション(Sesion Solemne)に出席した。
    (3)今次訪問の目的は政治対話の継続のほか,エネルギー,森林,教育等,両国間の新しい潜在的協力分野を特定することにある。ニーニスト大統領には,メキシコにおける構造改革の好機を活かすことに関心を有する企業ミッションが同行した。
    (4)フィンランドの大統領によるメキシコへの公式訪問としては,1999年以来16年振りとなる。
    (5)ペニャ・ニエト大統領及びニーニスト大統領立ち会いの下,以下のMOUの署名式が行われた。

      • ハリスコ州政府-フィンランド技術研究センター(VTT)間の,技術革新,ナノテクノロジー,ロボット技術,再生可能エネルギー,R&D分野における協力強化のためのMOU
      • メキシコ外国貿易銀行(Bancomext)-Finverra(注:フィンランド国有輸出銀行)間の,墨フィンランド二国間貿易の強化のための貿易金融協力にかかるMOU
      • ProMexico-Finpro(フィンランド輸出業者連盟)間の,双方の共通関心分野において貿易・投資を促進する機会を特定するための24ヶ月にわたる作業プログラムにかかるMOU
      • 国家森林委員会(CONAFOR)-ヘルシンキ大学間の,持続的な森林資源マネージメント,(森林資源にかかる)企画立案制度,森林遺伝学,技術移転といった分野における協力行動に関するMOU

      9.ルセーフ伯大統領の国賓訪問
      26日~27日,ルセーフ伯大統領がメキシコを国賓訪問したところ,ポイントは以下のとおり。


      【ポイント】


      ●ルセーフ伯大統領はメキシコを国賓訪問。同大統領としては初の訪墨。
      ●両国政府は,二国間の協力枠組みをアップデートするための各種合意文書に署名し,墨伯関係に質的な飛躍をもたらし,二国間関係の新たな歴史を切り開く旨合意。
      ●ラテンアメリカ統合連合(ALADI)経済補完協定(ACE)53号(注:墨伯FTAに相当)の再交渉を行うことに合意。同交渉を通じて,①同協定による特恵関税適用品目のカバレッジの増大(現在の約800品目から6000品目以上を目指す),②既存の特恵税率の引き下げ,③サービス,電子商取引,知的財産にかかる章の追加等を目指す。これにより,二国間貿易額を現在の92億ドルから今後10年以内に倍増させる。
      ●二国間の投資紛争のリスク軽減及び異議申立てのメカニズムが規定された墨伯投資協力・円滑化協定の署名を行った。同協定により,両国間の投資環境に確実性がもたらされ,相互投資が促進されることが期待される。なお,同協定は伯にとって米州大陸の中で初の投資分野の協定。
      ●両国の象徴的な産品であるテキーラ及びカシャッサの原産地名称登録の相互認可のための合意がなされ,ペニャ・ニエト大統領主催午餐会では,両国首脳が相手国の特産蒸留酒で乾杯を行った。
      ●その他,航空サービス,観光,農水産業,科学技術協力,天然資源の保全及び持続可能な利用,開発金融等の分野における合意がなされた。
      ●墨のエネルギー改革による上流開放を受けて,ルセーフ大統領から,メキシコ湾の大水深油田における採掘に関し,PETROBRASによるPEMEXに対する支援の可能性を表明。

       

       

 
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