政務班

2007年10月のメキシコの内政・外交の概要

 

<概要>
 内政では、フォックス前大統領の公金横領疑惑に多くの紙面が割かれた他、メキシコ湾でメキシコ石油公社(PEMEX)の石油採掘プラットフォームで衝突事故が発生、21名の死者が出た。また、タバスコ州では、集中豪雨による洪水被害が発生した。
外交では、米国と共同の組織犯罪・テロ対策計画であるメリダ・イニシアティブの具体的内容が米国側から示された。

 

<クロノロジー>
1日  エロルドゥイ・バハ・カリフォルニア州知事(国民行動党(PAN))の最後の教書演説が、州知事選挙で敗北した制度的革命党(PRI)のハンク・ローン元候補の後援者を中心とするPRI支持者により妨害される。30日、8月に実施された州知事選挙に関し、PAN所属のエロルドゥイ州知事が選挙活動に関与していたとして、ハンク・ローンPRI候補が選挙における違法行為があったとして連邦選挙裁判所に提訴していたが、訴えは退けられ、オスナPAN候補の州知事選勝利が確定。(内政)
1日  モントリオール議定書締結20周年に際し、カルデロン大統領は、京都議定書に参加しないなど気候変動問題への取り組みを軽視している、と米国の姿勢を批判する。また、京都議定書履行のための資金投資を盛り込んだイニシアティブを発表。(内政・外交)
1日  米国国土安全保障省のチャートフ長官、メキシコからの不法入国者がゴミを捨て国境地帯の環境汚染を招いていると非難。これに対し墨外務省は「米国が建設した国境壁こそ生態系に影響を及ぼすものである」とのプレスリリースを発出。(外交)
1日  クリール連邦上院議長、連邦選挙機関(IFE)新評議員の選出に関し、政党とのつながりがない人物の選出を要求。3日、カスターニョPAN連邦下院副議長、「いかなる専門家でも一定の政党支持がある」と、(クリール内務大臣と共に働いていた経験のある)マリア・アンパロ・カサル氏及び、カルデロン大統領政権委譲チームに所属していたホルヘ・アルコセル氏が選挙改革に伴う連邦選挙機関(IFE)の新評議員候補に挙げられる上で問題ないか検討するよう連邦下院議会に提案(内政)
3日  法王庁のマンベルティ外務長官、カルデロン大統領及びエスピノサ外相と会談。墨側に公立学校での宗教教育や、宗教や信仰の表現の自由といった宗教の自由及び死刑廃止など人権保護の面で、憲法改正も含む宗教改革を要求。(外交)
3日  連邦選挙裁判所、7月に実施されたPAN青年部代表選挙結果を巡り党執行部が、不正があったとして8月20日に取り消した結果につき、「党執行部は選挙結果に対し結果を無効にする権利も有効にする権利も有しない」として、同党に2日以内にフアン・カルロス・マルティネスを代表職に就任させるよう命令。(内政)
3日  国家安全調査局(CISEN)、7月及び9月に発生したメキシコ石油公社(PEMEX)パイプライン爆破事件は、人民革命軍(EPR)の一部の暴力的分子による犯行であり、犯人は明らかになってきていると述べる。また、CISENは現在行方不明で、EPR側が治安当局が拘束しているとして解放を求めているEPRのメンバー2名を捜索していると言及。(内政・治安)
4日  メキシコ政府、組織犯罪対策のための米墨二国間計画の一部として米国から2年間で10億ドルを受けることを確認。22日、カルデロン大統領、ブッシュ米大統領と電話で、ホワイトハウスが22日に連邦議会に提出する、2008年度予算における5億ドルの基金申請について意見交換。同日、ブッシュ米大統領、米国議会にメキシコ及び中米の対麻薬及び対組織犯罪資金として5億5千万ドルを申請。エスピノサ外相、メリダ・イニシアティブはメキシコの主権を脅かすものではないと述べる。23日、サルカン駐米大使、カルデロン政権が組織犯罪対策に3年間で70億ドルを計上することを計画している旨発言。24日、墨大統領府、メリダ・イニシアティブに対し、特別計上はしないとサルカン発言を訂正。24日、エスピノサ外相、メリダ・イニシアティブに関し、米国がテロリストの発見のため、メキシコ南北国境地域に移民をコントロールする機材及び技術の提供をすることを認める。25日、連邦下院、カルデロン大統領がメリダ・イニシアティブに関して秘密主義で説明がないことを非難。(外交・治安)
4日  フォックス前大統領、大統領在職時に大統領としての給料以外に、専門職としての活動及び金融利益を得ていたことが明らかに。8日、フォックス前大統領、大統領任期の終盤に5千5百万ペソ以上を不動産投資し、計3千3万ペソを牧場の改修に支出していたことが明らかに。10日、フォックス前大統領が牧場で使用している4WD(ハマー)の入手経路価格等が不明であると報道される。11日、連邦下院本会議、フォックス前大統領の所有物に関する調査のための特別委員会の設置を承認。11日、フォックス前大統領、米CNN局のインタビューで、4WDは自身ではなく、大統領警護隊の所有物であると述べる。15日、渦中の4WDは、メキシコ・ゼネラルモーターズ社が貸与した車両であることが判明。21日、フォックス前大統領の弟、4年前からナジャリット州にある120万ドルのリゾートマンションの持ち主であると報道。また2001年から2004年にかけて、同氏は農産加工業に従事し、35万ペソの援助を受けていたとも報道。22日、4WD、同社に返却される。24日、フォックス前大統領の所有物に関する調査特別委員会、具体的内容や予算が未定のまま、発足。29日、ベルトローネス連邦上院政調会長、フォックス前大統領が、同氏と麻薬組織の関与を米国麻薬取締局(DEA)が調査していると述べたことに対し、PANを除く連邦上院議員、フォックス前大統領を非難。一方、ゴンサレス民主革命党(PRD)連邦下院会派長、フォックス前大統領にベルトローネス連邦上院政調委員長と麻薬組織のつながりを示す証拠の提出を求める。30日、連邦下院議会・フォックス前大統領の資産に関する究明特別委員会が第一回の会合を行い、PEMEX、連邦検察庁、公共行政省、国税局の代表を召還、バモス・メキシコ財団への調査を行うことで一致。また、同特別委員会の活動期限である2008年4月11日までの間に、少なくとも毎週一回会合を行うことが決まる。30日、メディナ=モラ連邦検察長官、フォックス前大統領の捜査を開始したと述べる。(内政)
6日  PAN執行部の会議で、エスピノ党首、2008年3月に予定されている党首選挙を年内に前倒しすることを提案。7日、執行部、党首選挙の前倒しを承認。29日、マルティネス前公共行政大臣、正式にPAN党首選挙の候補者に。地方選挙での敗北の連鎖を打開し、2012年の大統領選挙での敗北を避けなければならないと述べる。(内政)
7日  オアハカ州市町村長選挙、チアパス州議会及び市町村長選挙、実施される。オアハカ州では、PRIが前回選挙に比べ16伸ばし、PANは20から6に減少。チアパス州では、PRDが州議会での過半数を割り、代わりにPRIが過半数を獲得。(内政)
8日  メキシコ州の連邦判事、客月28日に組織犯罪及び麻薬密売容疑で逮捕された  ディエゴ・エスピノサ(Diego Espinosa、通称「エル・ティグレ」)容疑者の禁固を命じる。(治安)
8日  公務員年金法(通称ISSSTE法)に関する労働者の保護請求に対する最初の判決、大半の訴えが退けられる。(内政)
9日  米麻薬取締局(DEA)高官、FBIのシークレット・エージェント及びDEAがメキシコ政府と協力しメキシコ内で活動しており、時にメキシコ政府に知らせずに活動することもあると発言。(治安)
11日  連邦上院司法委員会、司法改革を巡りPANとPRDの同意の足かせになっていた逮捕、身柄の拘束及び電話の盗聴に対する権限の付与を迅速に行えるよう、全国に付与権限を持った判事グループの設置で同意する。(内政)
11日  寒冷前線2号と低気圧の影響による集中豪雨で、ベラクルス州、キンターナ・ロー州、チアパス州及びタバスコ州で河川が決壊、一部市町村で洪水が発生。19日、チアパス州内で19の河川が決壊、太平洋岸を中心に10の自治体が浸水の被害。(治安)
12日  タマウリパス州タンピコ市の連邦予防警察職員25名、湾岸カルテル(cartel del Golfo)のネットワーク擁護及び反情報機関活動の容疑で治安省に逮捕される。(治安)
12日  連邦検察庁、麻薬密造容疑で逮捕された中国系メキシコ人チェンリー・イエ・コン被告が4年間で9千万ドルのマネー・ロンダリングを実施していたと発表。(内政・治安)
13日  ベラクルス州ボカ・デル・リオ市で、除幕予定になっていたフォックス前大統領の像がPRI支持者によって倒される。14日PAN所属のボカ・デル・リオ市長、改めて像を立て直し、除幕を行うと共に、13日に像を倒した人物を訴える。15日、再びフォックス像倒される。(内政)
14日  シナロア州議会議員選挙及び市町村長選挙が実施され、州議会議員の議席は前回選挙とほぼ変わらず、市町村長選挙ではPRI−新同盟党の連合が圧勝。(内政)
15日  サン・ルイス・ポトシ州で警察学校の開校式が行われ、出席したカルデロン大統領、警察組織の統一化と情報共有を目的とする「プラン・メヒコ(Plan Mexico)」の推進を発表。(内政)
18日  連邦下院、パスポート発行料や船舶による入国者への入国料などの改正を加えた「手数料に関する法律(Ley Federal de Derechos)」を可決。(内政)
19日  カルデロン大統領、第33回全国州知事会議の席上、2008年度予算案に全国の州の中から貧困度上位の州10州へ新たな資金の設定を発表。20日、カルデロン大統領、税制改革によりもたらされる収入から30億ペソを最も社会的辺境にある市町村に、35億ペソを治安改善のために充てることを発表。(内政)
20日  連邦下院資料情報分析センター、選挙改革により2008年と2009年で政党向けの公的資金の29.14%に当たる25億ペソの削減となるとの試算を出す。
21日  大統領府、主な公共行政及び政府による影響を測るためのアンケート遂行のため、向こう半年で2,800万ペソを支出する見込み。主な契約アンケート調査会社は、Opina社、Investigaciones Sociales Aplicadas(ISA)及びMercaei社。Opina社は電話及び在宅面接アンケートで3件の契約を獲得、バルデス国家安全調査局長官が役員を務めていたGEA(Grupo de Economistas y Asociados)-ISAも電話及び在宅面接アンケートを実施する。(内政)
23日  メキシコ湾(カンペチェ州沖)油田海域において移動式石油掘削プラットフォーム(ウスマシンタ(Usumacinta))が、寒冷前線4号の影響による高波及び強風により、固定式のプラットフォーム(Kab101)の石油制御弁に衝突、石油が流出する事故が発生。24日、衝突した二つのプラットフォームで作業していた86名のうち61名を救助、18名を遺体で収容、7名が行方不明。25日、死者19名に。26日、生存者63名、死者21名に。今回の事故は、採掘を請け負うセントラル採掘社が、メキシコ石油公社(PEMEX)及びPEMEX契約社が満たさなければいけない安全基準を満たさず、悪天候にもかかわらず操業を続けた過失によるものであると報道。28日、流出した石油、メキシコ湾岸に漂着。付近での汚染広がる。(治安)
24日  サバレタ連邦下院議長がサバラ・カルデロン大統領夫人と会合、政治的イデオロギーを離れ、若者の薬物等依存症への対策に共同で取り組むことを提案。(内政)
25日  米国議会調査サービス(CRS)の報告書で、メキシコ国内で活動する7つのカルテルが米国内の麻薬組織を支配し、大別して2つの「同盟」に分かれる旨公表。(治安)
26日  米国ニューヨーク市にある在ニューヨークメキシコ総領事館に爆発物が投げ込まれ、総領事館建物正面のガラス3枚が破損する被害を受け、避難を余儀なくされる。(外交・治安)
28日  米国移民家族の活動家エルビラ・アレジャノ氏、メキシコ政府に対し、移民がアメリカンドリームを求めて危険を冒さないよう、メキシコ人移民のより良い雇用の機会を提供する努力を求める。(内政・外交)
27日  寒冷前線5号による集中豪雨でタバスコ州内の河川の水位上昇が始まり、グラニエル・タバスコ州知事、大災害を避けるため、非常事態宣言を発令し、危険地域に住む住民に避難勧告。28日、複数の河川が決壊。タバスコ州内17市町村のうち4市町村、7千人以上が被災。チアパス州文民保護局、北部を中心に寒冷前線への警戒を呼びかける。29日、タバスコ州文民保護局、20万人の避難準備を行う。内務省、タバスコ州全土へ非常事態宣言発出。チアパス州では集中豪雨により州北中部影響受ける。家屋の浸水により、約1,600人が被災。避難所を14カ所に設置。30日、州の70%が洪水による被害を受ける。被災者は30万人に増加。ラミレス内務相、ガルバン国防相、コルドバ厚生相、サイネス海軍相、サバラ社会開発相、エルビラ環境天然資源相が現地入り。チアパス州では軍関係者、州北部の危険地域にある2つの町の住民5千人を避難させる。 他にも22市町村に非常事態宣言を発令。31日、事態は更に悪化、州の80%が水没。被災者は40万人に。カルデロン大統領、初めて現地入りし、州民に忍耐を、残りの国民には災害への認識を促す。政府、国防省及び海軍省に他地域で活動する軍人によるタバスコ州への応援を要請。チアパス州では、62市町村、7千人が雨による被害を受ける。2千人が避難所生活を送る。(内政)
29日  連邦上院大蔵立法研究委員会、2008年収入法(2008年度予算案の収入に関する法律)を無修正で承認。30日、上院本会議で2008年収入法可決、成立。(内政)
29日  ロペス・オブラドールPRD元大統領候補(以下:AMLO)のスポークス・パーソン、AMLOのPRD及び進歩主義包括戦線(FAP)からの離党は、噂されている11月18日にも、その先にも予定されていない旨発言。(内政)
29日  カルデロン大統領を「正統な大統領」として認めたサバレタ連邦下院議長をフェルナンデス元PRDスポークス・パーソンが激しく非難したことに関し、ガルシア国家女性研究所所長、フェルナンデス元スポークス・パーソンこそ党から追放すべきであると述べると共に、サバレタ連邦下院議長を支援する姿勢を示す。(内政)
29日  カルデロン大統領、第5回モンテレイ・ビジネスサミットに出席するため訪墨中のネグロポンテ米国務次官と会談を行い、ハイレベル政治対話が実現していることが良好な二国間関係を示しており、また両国に影響を与えている麻薬組織及び組織犯罪と対決するため、両国がともに努力し、協力を強化する必要があることで意見が一致。ネグロポンテ次官は、米国はメリダ・イニシアティブを通じ、双方の法的管轄及び主権を完全に尊重しつつ、組織犯罪との戦いでメキシコに協力していくとする米国の立場を繰り返し述べる。(外交)
30日  カルデロン大統領、第5回モンテレイ・ビジネスサミットに出席するためメキシコを訪問しているサカ・エルサルバドル大統領及びセラヤ・ホンジュラス大統領と個別に会談を行う。会談において、カルデロン大統領は両国首脳と二国間関係強化に向けた共通の関心事項、特に貿易、投資、繊維分野における原産地の解釈範囲拡大、及び地域安全保障に関して意見交換がなされる。また、ハイレベルの政治対話に特徴づけられる確固たる二国間関係促進に基づいた、メソアメリカ地域の統合強化、及び地域における持続可能な開発についても話し合われる。(外交)
30日  カルデロン大統領、モンテレイで開催中のビジネス・サミットに出席、演説を行う。また、ネグロポンテ米国務次官、サカ・エルサルバドル大統領及びセラヤ・ホンジュラス大統領もそれぞれ演説。(内政・外交)
30日  連邦下院でバイオエネルギーに関する法律、特に行政府が拒否権を行使し差し戻されたバイオエネルギーの振興と開発に関する法律が下院で可決され、連邦上院に送られることに。石油産出量減少の対策にバイオ・エタノールの生産を推進する。(内政)
30日  PANを除くメキシコ市議会議員、議会に閉鎖された公共の空間での喫煙を禁止する「商業施設条例(Ley de Establecimientos Mercantiles)」を提出。この条例が施行されると、新規にレストランやバーを開店したい場合、設計図を示さなければならない。(内政)
30日  コリマ州マンサニージョ港で、コロンビア発のエスメラルダ号(香港船籍)積載コンテナ4個から23.5トンのコカインが発見される。(治安)

 

<内政>
1.フォックス前大統領を巡る動き
フォックス前大統領がグアナファト州に建設した「ビセンテ・フォックス研究所・図書館・博物館(以下フォックス・センター)」に、公文書を持ち出していたこと、また同州に所有する複数の牧場の動産購入費、改修費及び移動用4WDの出所を巡り、9月中旬以降当地各紙を中心として報道が続いたが、政治的動きを見せるも報道先行の状態が続いた。10月以降も引き続き当地各紙がフォックス前大統領、サアグン・フォックス前大統領夫人、両氏の親族に至るまで資産に関する独自調査・報道が続いた。これに対し、フォックス前大統領本人がCNN局のインタビューを受け、報道内容を直接否定した。
しかし、議会の野党議員を中心にして24日、連邦下院でフォックス前大統領の所有物に関する調査特別委員会が発足した。ただし、具体的内容や予算が未定である。

 

<外交>
1.マンベルティ法王庁外務長官の訪墨
(1)4日、墨外務省にて開催された墨バチカン関係正常化15周年記念式典に出席したマンベルティ法王庁外務長官はメキシコに対し、国内での宗教の自由を完全に保障するため、法制度を改革するよう求めた。また、マンベルティ長官は、メキシコが宗教の自由に対し寛容であるだけでなく、これを人権として認める国に進歩する必要がある旨強調した。
(2)エスピノサ外相他が出席した同式典において、マンベルティ長官は、宗教の自由は、完全な効力、正義及び人権に基づいた真の法治国家でありたいあらゆる国家が保障・促進しているものであると述べ、これら権利は放棄も譲渡も承認もされるべきものでない旨加えた。また、宗教差別は国民の間に分裂をもたらす傷と敵意感情を生み出す旨警告した。
(3)これに先立ち、カルデロン大統領は、大統領官邸でマンベルティ長官と会談した際、法王ベネディクト16世のメキシコ訪問を招待した。
(4)メキシコのカトリック弁護士協会は、連邦上院に対し、憲法第3条に規定される「宗教から独立した国家(Estado laico)」を「無宗教国家(Estado aconfesional)」へ改訂し、また公立学校における宗教教育を認めること等を求める憲法改正案を4日提出する予定である(注:4日、同案は連邦上院に提出された)。

2.墨米電話首脳会談
(1)22日朝、カルデロン大統領とブッシュ米大統領は電話で、ホワイトハウスが同日に連邦議会に提出する、2008年度予算における5億ドルの基金申請について意見交換を行った。これは、組織犯罪との戦いにおける共同戦略開発のための、14億ドルに及ぶ多年度協力プログラムに関するものである。
(2)ブッシュ大統領は、メキシコ及びカルデロン大統領による組織犯罪及び麻薬組織との戦いにおける努力を評価した。メキシコ側は、ブッシュ政権が本件に関し行動をより深化し、二国間協力を新たな段階に持って行こうとしている努力を評価した。
(3)今次協力プログラムは、本年3月のメリダ共同コミュニケにおいて想定されたものの結果であり、両国が最大限の効果で国境を越える組織犯罪の脅威と対峙できるようにするものである。今回のイニシアティブは、組織犯罪から国民を守り、子どもや若者を麻薬から救うため、より多くの優れたツールの活用を模索する。
(4)この基金は、共有責任、相互性、相互信頼及び各国の主権及び法的管轄の尊重に基づく、国境を越える組織犯罪に対する「メリダ・イニシアティブ」の一部をなす。もし米国議会が基金を承認すれば、この(組織犯罪という)災難に対する両国の努力に資することになる。この場合、基金は米国がメキシコの努力に報いるために提供しうる最新技術の取得、訓練、及び機材に適用することになる。
(5)両国政府は、移転支出のための予算承認にかかる米国の立法プロセスを、フィージビリティー、双方の国益との両立性、及び最終的な実施が具体化するよう、注意深くフォローすることになる。

 

 
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