在メキシコ日本国大使館

政務班

２００７年11月のメキシコの内政・外交の概要

＜概要＞
　内政・治安では、１０月末の大雨に起因し発生したタバスコ州内での洪水、右に関連し１１月発生したチアパス州での土砂災害による被害が拡大、メキシコ政府の援助呼びかけに対し、わが国を含む国内外での緊急物資及び資金援助が提供された。また、ロペス・オブラドール元大統領候補を中心とする全国民主主義大会が実施された際、一部が暴徒化、メトロポリタン大聖堂に乱入した。月末にはカルデロン政権が分野別プログラムを発表した。
　外交ではエスピノサ外相がカルデロン大統領の代理としてイベロアメリカ・サミットに出席した他、中国及び日本を訪問し、日墨外相会談においては戦略的パートナーシップの確認・深化が議題の中心となった。

＜クロノロジー＞
１日　　１０月末からの大雨で、タバスコ州内を通るグリハルバ川河岸では増水に対処するための砂のうが積まれていたが、４日間堪えた砂のうによる補強が決壊し、州都ビジャエルモッサ市は冠水、軍により住民の市の中心部からの完全立ち退きを実施。被災者はチアパス等の周辺州も併せ、計１００万人以上で、うち３０万人近くが家宅に取り残され、救助待ちの状態。複数の河川氾濫により、タバスコ州面積の８割が影響を受けた。２日、カルデロン大統領、２度目の被災地入り。４日、カルデロン大統領、３度目の被災地入り。同日、チアパス州オストゥアカン（Ostuacan）町フアン・デ・グリハルバ地区付近で大規模な土砂崩れが発生、付近を流れるグリハルバ川が幅１００メートル、長さ２００メートル、深さ７０メートルにわたって土砂に覆われた。土砂はマルパソ・ダムとペニータス・ダムを結ぶ川の流れを堰き止め、高さ４０～５０メートルに及ぶ大きな波を引き起こし、フアン・デ・グリハルバ地区を飲み込む。村では５０軒以上の家が倒壊、内務省によると、少なくとも１６人が行方不明。一方、村民によると、７０人程度が行方不明になっているとの証言あり。５日、カルデロン大統領、バチェレ・チリ大統領に連絡を取り、チアパス州及びタバスコ州における緊急情勢に鑑み、８～１０日にサンティアゴで開催予定の第１７回イベロアメリカ・サミットへの出席を見合わせる旨述べる。６日、カルデロン大統領、４度目の現地入り。チアパス州入りは初めて。８日、タバスコ州都ビジャエルモッサ市内の一部で水が引き、住民が戻り始める。ビジャエルモッサ市内中心部で女性の遺体が発見される。ラミレス内務相、洪水による死者はいないとしていたが、女性の死因を洪水によるものと認める。公式に洪水と関連した死者と認められたのはこれが初めて。９日、カルデロン大統領、５度目の現地入り。再び被災状況の評価を実施。１２日、カルデロン大統領、６度目となる被災地入り。災害状況の評価を実施。１３日、フアン・デ・グリハルバ地区での死者が３人増え、１４人に。依然として１１人が行方不明。１４日、タバスコ州政府、州内での被災者は１２１万人に上ると発表。ソホ経済相、同州内でホテルやレストランなどを中心に２，０００以上の企業が被害を受けたと述べる。１５日、カルデロン大統領、再び災害状況の評価を実施。２１日、ビジャエルモッサ市内の９５％から水が引く。２２日、タバスコ州内務政治開発副長官（Subsecretario de Gobierno y Desarrollo Politico）、タバスコ州内では未だに７８１ヶ所の避難所に７万人の被災者が生活していると発表。２４日、土砂崩れによる川の寸断によりグリハルバ川の増水が確認されていることに対し、文民保護当局及び専門家は、危険はないと、更なる災害の可能性を否定。２６日、グラニエル・タバスコ州知事、雨期が終了し、グリハルバ川の寸断が解消されるまで、タバスコ州内の非常事態宣言を解除しないと述べる。（内政・治安）
５日　　治安当局閣僚、１０月３０日にコリマ州マンサニージョ港で押収されたコカインは、シナロア・カルテルの首領、ホアキン「エル・チャポ」グスマンのパートナーでもあるベルトラン・レイバ兄弟の組織のものであり、今回のコカイン押収量は世界史上最大のものであると発表。今回の押収により、現政権最初の１１ヶ月間で４８．５トンのコカインを押収したことに。カルデロン大統領、ブッシュ米国大統領から麻薬押収を祝福するとともにメキシコ政府の麻薬組織撲滅のための活動振りを評価する電話受ける。（治安・外交）
５日　　２００６年に逮捕され、米国に身柄を引き渡されていたシナロア・カルテルのリーダー格、フランシスコ・ハビエル・アレジャノ・フェリックス（Francisco Javier Arellano Felix）、米国・サンディエゴの裁判所で終身刑の判決を受ける。（治安）
５日　　民主革命党（ＰＲＤ）のリカルド・モンレアル連邦上院議員、連邦検察庁に対し、フォックス前大統領の財政的不正行為に関する６０件以上の証拠を提出。フォックス前大統領に関する調査委員会、「アミーゴ・フォックス」の一人、コロディ氏の喚問求める。６日、委員会、フォックス前大統領の任期終了時に違法に公文書を持ち出した容疑について調査すると発表。７日、コロディ氏、フォックス前大統領がグアナファト州に所有するサン・クリストバル牧場内に「フォックス・センター」（注：ビセンテ・フォックス・ケサーダ研究センター・図書館・博物館。フォックス前大統領が私有地内に大統領府様の建物を建設、バモス・メキシコ財団の拠点として使用されている。）建設のためムニョス連邦上院議員がさまざまな業者へのひいきへの見返りとして金銭を求める役を担っていたと述べる。１５日、ＰＲＤ連邦下院議員、連邦下院総務部に対し、フォックス前大統領に対する弾劾を可能にするよう申請。２１日、連邦情報公開庁（ＩＦＡＩ）、連邦検察庁に対し、既に終了しているフォックス前大統領に関する予備捜査の結果を公表するよう求める。連邦検察庁、フォックス前大統領に対する刑事訴訟がない限りは、情報を公開する構え。２４日、フォックス前大統領が使用していた車両（４ＷＤ）の契約は、カスティージョ大統領警護隊隊長が署名をしていたことが明らかに。２７日、大統領府、フォックス前大統領が２００１年のブッシュ米大統領訪墨前或いはそれ以前に、サン・クリストバル牧場の改修を行なった事実を示す関係文書は存在しないと述べる。公共行政省、フォックス前大統領に関する調査委員会に対し、サアグン・フォックス前大統領夫人が婚前、フォックス前政権時に報道官として働いていた際の資産証明を提出。（内政）
６日　　国民行動党（ＰＡＮ）所属の連邦上院議員、メキシコ石油公社（ＰＥＭＥＸ）の民間参入に向け、制度的革命党（ＰＲＩ）、ＰＲＤと水面下の交渉を開始する。７日、ＰＲＩ上院議員、ＰＥＭＥＸへの民間参入に関し、石油採掘に関わらない部分での参入を検討。（内政）
６日　　メキシコ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス及びベリーズの国民に対し、「マヤ世界のビザ」と名づけられた統一ビザの発行に向け交渉。（外交）
７日　　マルティネス前公共行政相、ＰＡＮ党首選挙に正式に立候補。２３日、党首選挙への立候補受付、締め切られる。候補者はマルティネス前公共行政相一人に。２９日、エスピノ党首、マルティネス党首候補と会談、儀礼的な引継ぎ式を行なう。（内政）
７日　　エスピノサ外相、イベロアメリカ・サミット出席のため、チリ入り。８～１１日、イベロアメリカ・サミット出席。９日、チャベス・ベネズエラ大統領と会談。（外交）
１１日　　ミチョアカン州、プエブラ州、タマウリパス州及びトラスカラ州で地方選挙実施される。ミチョアカン州では、州知事選挙でゴドイＰＲＤ候補が勝利、州議会議員選挙ではＰＲＤ、市町村長選挙ではＰＲＩが最大数を獲得。プエブラ州では、ＰＲＩ－緑の党（ＰＶＥＭ）が州議会議員の選挙区議席全てを押さえる。
タマウリパス州でもＰＲＩが州議会議席の大半を勝ち取り、市町村長選挙でも主要大都市を押さえ大勝。またトラスカラ州では、第三党であるＰＡＮが社会民主主義代替党（ＰＡＳ）との連合で議席を４倍以上に伸ばし第一党に、また市町村長選挙でもＰＲＩをしのいで最大数を獲得。（内政）
１２日　　連邦下院、２００８年度予算案歳出部分を可決。税制改革を含まない当初の予算案と比べ、１億５，２００万ペソの増加。前月３０日に議会を通過した歳入予算と合わせ、２００８年度予算が議会で可決・成立。（内政・経済）
１２日　　ゲレロ州アヨツィナパ（Ayotzinapa）地方教育大学の在校生及び卒業生がゲレロ州教育庁に対し、①同大学卒業生に対する８５の教職ポストの提供、及び②同大学初等教育学部閉鎖の撤回を求め、ゲレロ州議事堂を占拠。１４日、学生等が議事堂正面玄関に非常線を張り、一部州議会議員及び職員を拘束した。警察が議事堂奪還作戦を実施し学生等と衝突、警察側が議事堂を取り返し、学生４０名が負傷、７０名が逮捕、また議事堂の物損、州議会議員１名及び報道関係者が暴行を受ける。１５日、国内９教育大学、父兄の支援を受けた学生等がデモ行進を実施し、トーレブランカ・ゲレロ州知事による前日の鎮圧を批判した。その後州議事堂前に到着した学生等は議事堂に火炎瓶を投げつけるなど攻撃を加える。２０日、学生及び卒業生が支援団体と共に州議事堂を取り囲み、州議会議員１０名の退出を阻止、軟禁状態にした。同日夜、ゲレロ州内務委員会のレジェス議員が電話でトーレブランカ・ゲレロ州知事と話し合いをし、１１月３０日までに学生を呼んで要求を聞く機会を設ける約束を取り付けたことから、学生等は軟禁状態であった州議会議員を解放。（内政・治安）
１３日　　メキシコ湾カンペチェ州沖油田で客月発生した石油採掘プラットフォーム衝突事故による石油流出を止めるための作業中に発生した火花により、Ｋａｂ１０１油井で火災が発生。１４日、前日発生した油田火災、鎮火。２０日、同油田のＫａｂ１２１油井で火災が発生。２１日、マリアーノ・ルイス＝フネスＰＥＭＥＸ顧問調整役は、最終的にＫａｂ１２１油井の操業を止めることも視野に入れて専門家が今後の対応を検討していると述べる。（治安）
１３日　　メキシコ国立自治大学（ＵＮＡＭ）新学長にホセ・ナロ・ロブレス（Jose Narro Robles）医学部長が選出される。任期は２０１１年まで。（内政）
１３日　　連邦下院政策調整委員会、連邦選挙機関（ＩＦＥ）評議員の交代を巡り、１１月１３日から３０日以内に選出を進める、また候補者に関し公に意見を求めず、下院での公聴会のみとすることで一致。２０日、連邦下院、ＩＦＥ評議員３名の交代を承認。新評議員募集は３０日締め切りの予定。その後インタビューを実施、明月１３日の選出を目指す。３０日、連邦選挙機関新議長を含む審議会評議員への立候補受付締め切られる。応募者は合計４９１人。（内政）
１４日　　連邦下院、選挙法改革の細則についての議論の中で、公職に就く者の肖像及び肉声を伴うスポットの禁止を承認。１８日、連邦上下院、連邦選挙裁判所の判事の入れ替えを２０１５年まで実施しないことで同意。２１日、連邦選挙法（Ｃｏｆｉｐｅ）の改正案で、スポットＣＭの放映時間を従来の２０秒、３０秒及び４０秒を、１分から最大３分にまで延長することに。２２日、法を遵守しないマスメディアに対し、最大１０万日分の最低賃金の罰金を科する制裁を条項に加えることで一致。２６日、選挙法改革の細則改正に関し、少数政党が、主要三党による連合の禁止を盛り込んだ改正案は、少数政党を外して進めているものであるとして、改正案の主要三党のみによる可決に反対。２７日、連邦上院の主要三政党会派長、選挙改革の細則改正の最終調整のため会合。連邦選挙法（Ｃｏｆｉｐｅ）の最終修正案によれば、テレビ・ラジオでの連邦及び地方政府による政府広告は、大統領及び州知事の声と姿を出さないことを条件に許可する方向に。２９日、主要三党、少数政党によるボイコットにもかかわらず、連邦上院政策調整委員会に対し選挙法改革の細則改正案を提出。（内政）
１４日　　カルデロン大統領、米大統領候補に対し、移民問題を票稼ぎに利用しないよう求める。（外交）
１５日　　米国議会でメリダ・イニシアティブの議論が行われ、反対意見や、本件に人権擁護などが考慮されていないことに危惧を示す意見が出る。（外交）
１６日　　カルデロン大統領、大統領官邸にて、胡錦濤国家主席の特使としてメキシコを訪問中の王兆国中国全人代副委員長と会談。６月のＧ８ハイリゲンダム・サミット・アウトリーチ会合における胡主席との接触に触れつつ、両国間でハイレベルの往来を継続することへの関心を示す。また、両国貿易関係を均衡させ、取り扱いに注意が必要な項目に配慮しながら、両国経済分野における精力的な関係を維持することへの関心を示す。（外交）
１６日　　カルデロン大統領、大統領官邸にて明年１月１４日に就任予定のコロン次期グアテマラ大統領と会談、主要な調整メカニズムの課題に含まれるべき関心事項、特に貿易、並びに移民の人権を完全に尊重した上での、両国国境における移民及び安全保障に関し意見が一致している旨指摘。（外交）
１８日　　メキシコ市憲法広場において第３回全国民主主義大会（Convencion Nacional Democratica）が開催され、ロペス・オブラドール元大統領候補（以下ＡＭＬＯ）らが演説を行い、メキシコ石油公社（ＰＥＭＥＸ）への外国企業参入反対の姿勢を示す。演説中の正午、メトロポリタン大聖堂の鐘に妨害されたことに腹を立てた参加者の一部が暴徒化し、大聖堂に乱入、椅子などを破壊する。大聖堂は無期限閉鎖が決定。１９日、ＰＲＤ及び「正統な政府」は、今回の事件を非難する声明を発出した。一方ローマ訪問中のリベラ枢機卿は、今回の過激派と呼ばれる集団の行為は侮辱に値するとの考えを述べた。２０日、ＡＭＬＯ、１８日の乱入事件は、メキシコシティの政治マフィアの扇動によるものであると述べる。教会側とＰＲＤは対立を回避し、大聖堂の扉を再び開けるため歩み寄りをする話し合いを持つ。２３日、メキシコ司教区司教審議会は、大聖堂の再開について会議を開催。２５日、メトロポリタン大聖堂が再開される。（内政・治安）
２０日　　ブルス・ソノラ知事、連邦調査機関（ＡＦＩ）が知事のボディーガード長の家宅捜査を行ったことから、同機関の州内からの退去求める。２１日、同機関の所属する連邦検察庁、捜査は法的な手続きを経ていると発言。（内政・治安）
２０日　　カルデロン大統領、メキシコ革命９７周年記念式典に出席、国民に和解を呼びかけると共に、２０１０年の独立２００周年及び革命１００周年記念基本プログラムについて発表。（内政）
２１日　　連邦下院厚生委員会、全国の公共の場での禁煙に関する法案を概ね可決。（内政）
２２～２３日　　エスピノサ外相、２００３年に墨中間で設立された戦略的パートナーシップにより促進されている両国間のハイレベル政治対話継続を目的として、中国を訪問。かかる目的の下、エスピノサ外相は、温家宝国務院総理を表敬し、また楊潔チ外交部長及び王家瑞中国共産党中央委員会対外連絡部長と会談を行う。（外交）
２５～２６日　　エスピノサ外相、日墨両国間の戦略的パートナーシップの重要性を再確認するため、訪日。高村外務大臣、甘利経済産業大臣及び緒方ＪＩＣＡ理事長と会談。また、河野衆議院議長及び江田参議院議長への表敬を行う。（外交）
２５日　　アコスタＰＲＤ事務局長及びデルガド結集党上院議員、メキシコの左派が崩壊寸前の状態にあったことを否定。（内政）
２５日　　カルデロン大統領、先般の地方選挙で勝利したゴドイ次期ミチョアカン州知事と会談、地方と中央のスムーズな関係を模索することで一致。（内政）
２５日　　国家人権委員会（ＣＮＤＨ）、２００１年から２００７年６月までに、米墨国境を通過しようとした不法移民２，５３３人の死亡が報告されていると言明。
２７日　　連邦最高裁判所、リディア・カチョ事件（注：新聞記者・作家であるカチョ氏が執筆した本の中でマリン・プエブラ州知事がプエブラ州の繊維王であるカメル・ナシフ氏と共謀し児童性的虐待に荷担していたと述べたことからマリン州知事がカチョ氏の身柄をキンターナ・ロー州内で拘束、プエブラ州内で収監した事件）に関し、カチョ氏の個人の権利侵害と直接的な関係はないとして、マリン・プエブラ州知事の少年愛及び児童ポルノに関する最高裁判所の見解は述べないことを決定。これに対しカチョ氏、児童への性的虐待に対する言及を削除したことは、国内にはびこる児童への性的虐待を隠匿する「非常に重大で危険」
な行為であると述べる。２９日、最高裁判所、マリン・プエブラ州知事によるカチョ氏への個人の権利侵害は存在したが、刑事処罰の対象となるほど重大ではなかったとの最終見解を示し、調査は終了に。カチョ氏、「最高裁判所は身を守る術を奪い去った」と最高裁の判決に失望感を示す。（内政・治安）
２７日　　麻薬密売容疑で逮捕されたサンドラ・アビラ容疑者（通称「太平洋の女王」）の米国への身柄引き渡し、一時的に保留に。（治安）
２８日　　カルデロン大統領、経済分野に関する「分野別プログラム２００７－２０１２」を発表。２９日、カルデロン大統領、社会分野に関する「分野別プログラム」を発表。３０日、カルデロン大統領、治安、ガバナビリティ及び外交に関する「分野別プログラム」を発表。（内政）
２８日　　ウガルデ連邦選挙機関（ＩＦＥ）議長、最後の審議会会合を終え、ＩＦＥ議長の座を去る。選挙改革による政党主義傾倒の危険性を示唆。２９日、ウガルデ前議長、ＡＭＬＯは存在しない選挙不正をでっち上げる「歴史的な嘘」をついたと非難。

＜内政＞
１．タバスコ州及びチアパス州における洪水被害及び土砂災害
（１）１日
（イ）前週からの大雨で、タバスコ州内を通るグリハルバ川河岸で増水に４日間堪えてきた砂のうによる補強が決壊した。州都ビジャエルモッサ市は水浸し状態で、軍により市の中心部からの住民完全立ち退きを実施した。被災者はチアパス等の周辺州も併せ、計１００万人以上で、うち３０万人近くが家に取り残され、救助待ちの状態。複数の河川氾濫により、州の８割が影響を受けている。
（ロ）内務、国防、海軍及び環境各大臣が現地入りした。ラミレス内相は、洪水被害は政府の想定を超えている旨発言。一方、大蔵公債省は被災地域における所得税等の免税措置実施を発表した。コルドバ厚生大臣は、今回の水害により、タバスコ州においてデング熱、マラリア及びコレラの感染が拡大することを懸念する旨発言。
（ハ）警察は、事故防止のため、国道１８６号のビジャエルモッサ－エスカルセガ（タバスコ州東部、ウスマシンタ川沿い）間を閉鎖。また、ビジャエルモッサ－コアルサコアルコス（ベラクルス州）間も一部閉鎖。さらに、一部バス会社は（カンクンのある）キンターナ・ロー州からメキシコ中央部へ向かうバスの運行を当面休止することを発表した。
（ニ）グラニエル・タバスコ州知事は記者会見で溺死者が出ていない旨発表。一方で、救助中に被災者１名が心臓発作で死亡している。
（２）２日
（イ）カルデロン大統領、今週二度目の被災地訪問。法律の許す範囲内で最大の権限を国防省及び海軍省に与え、タバスコ州の秩序維持に努める旨発言するとともに、現地で略奪行為が発生しないよう指示。一方で、タバスコ州民に対し、パニックに陥らず、落ち着いて軍の指示に従い行動するように呼びかける。
（ロ）州内の１７郡中、１５郡が浸水被害を受けている。住居を失った住民は、ビジャエルモッサ市だけでも約１０万人。少なくとも８０００人の住民は、ベラクルス州もしくはカンペチェ州へ脱出した（注：民間バス会社が無料運行を実施）。これまでに２８４カ所に避難所が設置され、３３０００人への応対を行った。また、メキシコ市を始め、各州から輸送物資及び輸送手段が提供され始めた。一方で、政府の想定を上回る被害状況の中、支援物資が各地に十分届かない事態が発生している。
（ハ）グラニエル州知事、洪水の原因は政府の水インフラ整備が不十分であったためとしてカルデロン大統領を批判。カルデロン大統領は、洪水の原因は大規模な気候の変動にあると反論。
（ニ）カルデロン大統領、６日～１０日に予定していたパナマ、コロンビア、ペルー及びチリ外遊につき、イベロアメリカ・サミットに出席するチリ以外の訪問を取りやめる旨決定。チリ訪問日程は８～１０日。
（３）３日
（イ）雨量が減少する。グラニエル・タバスコ州知事、最大の危機状態は脱しつつあると述べる。グラニエル知事は１名の死亡（心臓発作による）を確認しているのみで、現時点で溺死者は１名もいない旨、改めて発表。
（ロ）チアパス州内６１の避難所で３千人の被災者が報告される。被災者の合計は２万人と試算される。軍関係者、州での救助活動を開始。州文民保護局、洪水により少なくとも７名死亡の可能性を言及。
（４）４日
（イ）カルデロン大統領、３度目の現地入り。州民に落ち着きを呼びかけると共に、各国の援助に感謝の意を表す。更に復興基金の設立及び税金免除及び３ヶ月間ＣＦＥによる電気料金の徴収の免除を発表。潟湖で２体の遺体が発見される。
５日に開催された。
（ロ）チアパス州内では、雨は止むも被災者は２万５千人にのぼる。夜、連日の雨により地盤がゆるんでいたフアン・デ・グリハルバ地区付近で大規模な土砂崩れが発生、付近を流れるグリハルバ川を覆う。これによりダムに繋がる川の流れが堰き止められ、４０～５０メートルの大波が引き起こされる。波はフアン・デ・グリハルバ地区を飲み込み、５０戸以上の家屋が倒壊、少なくとも１６人が行方不明に。住民によれば、行方不明者は７０名程度と報道される。
（５）５日
（イ）タバスコ州内の水位が下がり始める。２万人が引き続き自宅に残される。今回の洪水による被害額の概算、２２０億ペソと発表。５５０億ペソとの概算も。国家中小企業週間開会式の席上、カルデロン大統領、タバスコ州の経済復興のために、ソホ経済相と共にタバスコ復興基金を設立するほか、同州内の中小企業支援のために２億ペソを投じると述べる。
（ロ）サビネス・チアパス州知事及びラミレス内務大臣、現地入り、被害状況を視察。現場では引き続き行方不明者の捜索を続ける。トゥストラ・グティエレス市－クアウテモック市間の道路でも大規模な土砂崩れが発生、９市町村が孤立する。内務省、１１市町村に非常事態宣言を発令。
（ハ）カルデロン大統領、バチェレ・チリ大統領に連絡を取り、チアパス州及びタバスコ州におけるデリケートな情勢に鑑み、８～１０日にサンティアゴで開催される第１７回イベロアメリカ・サミットへの出席を見合わせる旨述べた。カルデロン大統領は、被害に関する検討作業、被災者支援、及び被災地復興を指揮する必要があることを理由として述べた。
（６）６日
（イ）カルデロン大統領、４度目の現地入り。被災状況の評価を実施、大統領、７０億ペソをタバスコ州復興基金に充てることを発表、国民による同様の基金への寄付を呼びかける。タバスコ州内で漁師１名の遺体が発見される。
（ロ）カルデロン大統領、同夫人、サビネス・チアパス州知事、ラミレス内務大臣、ガルバン国防大臣、サイネス海軍大臣、サバラ社会開発大臣、エルビラ環境天然資源大臣、現地入り、被害状況を視察。３名の死亡が確認される。依然３５名が行方不明。
（ハ）連邦上院政策調整委員会において、１１月及び１２月の上院議員の給料から１０％を支援金に充てることで一致する見込み。また、連邦下院では全議員が給料一日分（２，５６３ペソ）を寄付することで一致した。さらに、連邦下院は２００８年度予算案にタバスコ・チアパス復興信託基金の設立推進を承認。

２．カンペチェ州沖海底油田における火災
（１）前月２３日に発生したメキシコ湾（カンペチェ州沖）海底油田における衝突事故による石油流出が原因で、今月２回に亘り火災が発生した。前月の事故により発生した石油の流出は制御されておらず、ＰＥＭＥＸは流出を抑える作業を続けていたが、１３日、作業中に発生した火花等により、Ｋａｂ１０１油井で火災が発生した。火災は一旦鎮火したが、２０日、今度はＫａｂ１２１油井で火災が発生、海軍によると２７日に鎮火したが、原油の流出は継続中である。
（２）同油田の生産量は、５,７００バレル/日であり、ＰＥＭＥＸによれば１日あたりの損害額は４０万ドルに及ぶ。エルナンデス・カンペチェ州環境長官によると、汚染軽減のため回収できたのは２,９００バレルであるとしている。同事故によってカンペチェ州シウダー・デル・カルメン（Ciudad del Carmen）にある環境保護区域ラグーナ・デ・テルミノス（Laguna de Terminos）ならびに周辺沿岸では漂着した石油による汚染の他、海老の養殖にも影響を及ぼしている。
（３）２１日、マリアーノ・ルイス＝フネスＰＥＭＥＸ顧問調整役は、最終的にＫａｂ１２１油井の操業を止めることも視野に入れて専門家が今後の対応を検討していると述べた。

３．ＰＲＤ支援者による大聖堂乱入事件
１８日メキシコ市憲法広場において第３回全国民主主義大会が開催され、正午大聖堂の鐘に妨害されたことに腹を立てた参加者の一部が暴徒化し、メトロポリタン大聖堂に乱入した。
（１）第３回全国民主主義大会
（イ）１８日、ＡＭＬＯを中心としたＰＲＤ及び進歩主義包括戦線（ＦＡＰ）の大会である第３回全国民主主義大会が開催された。同大会には、大会の中心人物であるＡＭＬＯの他には、コタＰＲＤ党首、エブラール・メキシコ市長、ナバレテ連邦上院ＰＲＤ会派長、ゴンサレス連邦下院ＰＲＤ会派長、デルガド連邦上院労働党（ＰＴ）会派長等が参加したが、各州知事、サバレタ連邦下院議長、オルテガＰＲＤ新左派代表等は姿を見せなかった。また、市民の参加者は報道によると数千人であり、憲法広場の三分の一がアイススケート場建設中のため使用できなかったにもかかわらず、参加者の空間には余裕があった。
（ロ）ＡＭＬＯは同大会において「正統な大統領」の大統領教書演説を行い、（i）ＰＥＭＥＸの民間への開放、特に外国企業への開放との戦い、（ii）エネルギー部門に関わる主権の保護、（iii）ＮＡＦＴＡによるトウモロコシ無関税輸入に対する国内産トウモロコシの保護等を訴えた。
（２）大聖堂への乱入
（イ）１８日正午前、ロサリオ・イバラＰＴ連邦上院議員の演説中、憲法広場北側にあるメトロポリタン大聖堂の鐘が鳴り始め、約１０分続いた。これを同大会の妨害行為であるとする参加者の一部、約１５０名が暴徒化し、正午のミサの始まる大聖堂内に乱入、鐘が鳴らされている間、リベラ枢機卿に対する侮辱とＡＭＬＯ支持を訴えながら、器物損壊の他、大聖堂内の信徒に危害を加えた。鐘が鳴り止んだところ、この集団は大聖堂を退出、外部からリベラ枢機卿及び教会に対する侮辱を続けた。
（ロ）これを受け、メキシコ司教区（Arquidiocesis de Mexico）司教審議会（Consejo Episcopal）は同日、同事件の当事者及び非難声明を出さなかったＡＭＬＯ及びエブラール・メキシコ市長を非難すると共に、司祭及び信徒の安全が書面をもって保証されるまで、大聖堂を無期限閉鎖すると発表した。また、同日夜より、メキシコ市治安庁は大聖堂の警備を開始した。
（ハ）アビラ聖堂参事会長は、日曜日に約１０分鐘を鳴らし続けるのは普通のことであり、挑発ではないと発言した。一方、挑発の当事者とされたイバラＰＴ連邦上院議員は、「この鐘の音は全国民主主義大会への歓喜の音か、それとも我々が伝えるべき事が聞こえて欲しくないのか、調べる必要がある」と発言しただけで、参加者の乱入を焚きつけたことを否定した。また１９日、ＰＲＤ及び「正統な政府」は、今回の事件を非難する声明を発出した。一方ローマ訪問中のリベラ枢機卿は、今回の過激派と呼ばれる集団の行為は侮辱に値するとの考えを述べた。教会側とＰＲＤは２０日、対立を回避し、大聖堂の扉を再び開けるため歩み寄りをする話し合いがもたれた。２３日、メキシコ司教区司教審議会は、大聖堂の再開について会議を開催する。

４．分野別プログラムの発表
カルデロン政権は２８日に経済分野、２９日に社会分野、そして３０日に治安、ガバナビリティ及び外交に関する「分野別プログラム２００７－２０１２」を発表した。２９日の式典はオアハカ州サンティアゴ・ヨガナ村で開催され、ルイス・オアハカ州知事の他クエバス州議会議長、閣僚からはサバラ社会開発相、コルドバ厚生相、バスケス教育相、エルビラ環境天然資源相及びエスコバル農地改革相が出席した。また、３０日の式典は３０日、カルデロン大統領はモレロス州ソチテペック市で開催、アダメ・モレロス州知事、ラミレス内務相、エスピノサ外相、ガルバン国防相、サイネス海軍相、メディナ＝モラ連邦検察庁長官、ガルシア治安相及びベガ公共行政相が出席した。
（１）カルデロン大統領スピーチ概要
（イ）分野別プログラムの発表：社会部門
（i）我々が今日行う主な挑戦は、国内に介在する大きな貧富の格差を縮小し、貧困、差別、貧窮の較差を是正することである。そのために、我が政府は「メキシコ２０３０（ビジョン２０３０）」を開始した。その後、我々が望む、我々の手で築くメキシコを基礎に、「国家開発計画」を発表した。そして政権一年目を締めくくるにあたり、各大臣に「分野別プログラム」の発表を指示した。
（ii）目的は、メキシコに存在する極貧を根絶し、不平等を減らす事である。社会政策の挑戦は、一人一人或いは家族が貧困の状態を克服する可能性を有することにあり、政府が行動するのではなく、人々に行動を起こす機会を残すことである。貧困から脱出するには、①貧困を繰り返さないための教育の扉を開け、②尊厳のある生活をするための健康の扉を開け、③上下水道がないが故に貧困に拘束されないための社会事業の扉を開け、④住宅を持たない人々のための住宅の扉を開けることである。
（iii）政府は環境に配慮しながら貧困克服を援助する１０の戦略を発表する予定である。これらは①自らが極貧に立ち向かうこと、②人的投資、③多くの財を持たぬ人及び財を全く持たぬ人への支援、そして④我々が生活する環境を守り、改善するという４つの方向に大別できる。
（iv）１０の戦略は以下の通り。
①機会プログラム（Programa de Oportunidades、現政権以前から実施されていた貧困対策プログラム）の継続
②資金援助
③人的投資、人的開発
④保健環境の改善
⑤生産計画への大規模援助計画（貧困層が住宅や商売など財産を持てるようにする）
⑥小作人や小地主の農地権利保証の継続
⑦女性への援助
⑧PROARBOLの推進による、森を守りながらの尊厳ある生活（当館注：不法森林伐採を防止するため、政府が森林地域に生活する先住民に森林の管理を委託し、賃金を支払うプログラム）
⑨環境を守るための能動的戦略
⑩手続きを減少させ、森林を守り、不法の森林伐採及び乱伐を防止するための環境管理
（ロ）分野別プログラムの発表：治安、ガバナビリティ及び外交分野
（i）治安に関する分野別プログラムの発表により、主権を持つ国民に対し決算書を提示する以上に、国民に委任された政府の正統性と職務を明確にし、公的権限の中で完全なる透明性があるよう、収入や支出がいくらなのか、何をするのか、何故するのか、正確に述べることを推進することを目指している。
（ii）持続可能な人的開発のための重要な条件である法治国家の完全なる効力、民主主義のメキシコ、及び我々が求める発展には、全てのメキシコ人のための司法や治安への効果的アクセスのような、国家が国内外の安全を保障することが求められる。
（iii）我が政府は国家の優先課題として組織犯罪との戦いを挙げている。そのために、「国家安全保障戦略」を発表した。この戦略により連邦検察庁（ＰＧＲ）、治安省（ＳＳＰ）及び軍の努力を効果的に統合することに成功した。また、国家の有する犯罪に関するデータの全てを集中させ、効果的な戦いを展開する犯罪マップの作成に役立つ、犯罪情報統一システム（Sistema Unico de Informacion Criminal）を構築することを盛り込んだ、「プラタフォルマ・メヒコ」の運用を開始した。さらに、「回復されつつある地メキシコをきれいに（Limpiemos Mexico Zona en Recuperacion）」により、犯罪増加に歯止めをかけるための公共の場の回復を続けていく。「公共の場救出プログラム（Programa de Rescate de Espacios Publicos）」によりコミュニティの公共の場を犯罪者の手から奪い取り、市民に取り戻すことを目指しており、また犯罪防止戦略（Estrategia de Prevencion del Delito）の成功のためには、根本的に社会及びＮＧＯの確実な参加が求められる。
（iv）我々の公約は、効果的で多様性があり、包括的であり、メキシコ及びメキシコ国民のために尽くすという唯一の目的のために政治的努力の全てを結集できる政治機構の強化である。そのために、我が政府は次の軸を基に活動している。
①持続可能な開発の促進及び達成のための民主主義の強化。
②公職に就く者が誠実さと倫理、透明性をもって行動し、報告の義務を負い、その遂行を保証するメキシコの構築に向け活動している。
（v）責任のある活発な外交のため、メキシコにおける世界の存在、及び世界におけるメキシコの存在を高める目的で以下について活動している。
①国家開発に効果的に貢献する梃子としての我々の外交政策を強化し、我々の在外公館は輸出促進、メキシコ人の製造する製品の販売及びメキシコ人の雇用と豊かさにつながる生産的な新規投資の誘致に関しますます活発な役割を果たしている。
②メキシコと世界中の区別ない全ての国との関係、特に我々の役割及びラ米としてのアイデンティティが明確であるラ米諸国との関係を強化している。
③我が政府にとって人権の保護、擁護は国内外を問わず優先されるものであり、個人の権利の保障を侵害されないよう海外に住むメキシコ人の人権擁護をこれからも効果的に促進していく。

＜外交＞
１．エスピノサ外相のアジア訪問
（１）エスピノサ外相の訪中
（イ）２２－２３日、エスピノサ外相は、２００３年に墨中間で設立された戦略的パートナーシップにより促進されている両国間のハイレベル政治対話継続を目的として、中国を訪問した。かかる目的の下、エスピノサ外相は、温家宝国務院総理を表敬し、また楊潔チ外交部長及び王家瑞中国共産党中央委員会対外連絡部長と会談を行った。
（ロ）温総理表敬の際、エスピノサ外相は、対話、協力及び相互利益に基づき、長期的な戦略的優先課題として対中関係を発展させる旨述べた。また、カルデロン大統領が、客年１２月の胡錦濤国家主席からの招待を受け、中国訪問を実現する関心を持っている旨伝えた。これに対し温総理は、中国は対墨関係を優先課題として扱っている旨指摘した。両者は、２００４年に設立された二国間委員会が、二国間の優先課題を取り扱うのに適した枠組であることにつき意見が一致し、また明年中国で開催される第３回二国間委員会の成功を祈念した。さらに、２００６年５月の第２回二国間委員会で合意した「共同行動計画２００６－２０１０」の重要性を指摘した。
（ハ）楊外交部長との会談で、両国外相は、共同行動計画の達成状況を確認し、計画策定からの１年で政治、文化、教育、観光、社会開発及び貧困との戦いといった分野で大きな進歩が見られることを歓迎した。また、関係各省が計画達成のために更に努力を行い、第３回二国間委員会に向け更に取り組んでいくことで合意した。さらに、両国外相は、両国外務省が二国間委員会の事務局として、行動計画の達成状況について定期的に意見交換を行っていくことで合意した。
（ニ）エスピノサ外相は、近年の墨中間におけるハイレベルの政治交流に言及した。また、二国間での経済連携強化を続けることへのメキシコ政府の関心を示し、両国企業家の交流促進が重要である旨指摘した。また両国外相は、国際・地域レベルの課題につき意見交換を行い、墨中がマルチ分野、特に国連、Ｇ８アウトリーチ５及びＡＰＥＣにおいて協力強化に向け努力すべきである旨指摘し、また中国とリオ・グループ間の対話促進の重要性について意見が一致した。
（２）エスピノサ外相の訪日
（イ）エスピノサ外相は２５－２６日、日墨両国間の戦略的パートナーシップの重要性を再確認するため、訪日し、高村外務大臣、甘利経済産業大臣及び緒方ＪＩＣＡ理事長と会談した。また、河野衆議院議長及び江田参議院議長とも会談を行った。
（ロ）外相会談
（ｉ）エスピノサ外相と高村外相は、日墨ＥＰＡがもたらしたプラスの成果を指摘した。２００４年の署名以降、日本企業、とりわけ自動車、自動車部品及び電気・電子業界がメキシコでの操業を開始、もしくは拡大してきた。二国間貿易は本年１６０億ドルを超えるかもしれない。しかし両外相は、両国企業が利用できる機会はまだあり、そのために両国政府は最大限の促進を行うことで意見が一致した。
（ii）両外相は、両国政府が気候変動との戦いへ協力して取り組む旨決定したことを確認した。また、気候変動に関する将来の国際レジーム交渉促進のための協議を他の国々と行うことで合意した。これら協議は、１２月３－１４日にインドネシアのバリ島で開催される気候変動に関する国連会議で始まることとなる。エスピノサ外相は、メキシコが調整国を務めるＧ８アウトリーチ５カ国からの、Ｇ８諸国と定期的に対話を行い、これを維持したいとする意思を伝えた。日本は明年１月からＧ８議長国を務め、６月にはＧ８サミットを主催する。
（iii）両外相は、日墨両国が２００９－２０１０年任期の国連安保理非常任理事国になるための相互支持を行い、また選出された場合には緊密に協力していくことで合意した。さらに、人間の安全保障に関し、国連の枠組で、共同で取り組んでいく必要性につき、意見が一致した。
（iv）２００９年に行われる日墨最初のコンタクトからの４００周年に関し、両外相はそれぞれの大使館が準備している行事を歓迎し、これに対する支援を表明した。これら行事へは官民両セクター、地方自治体、大学及び研究機関が参加し、絵画、考古学及び大衆芸術の展示、料理実演、学術交流、並びに貿易、観光及びビジネス促進行事が行われる。
（v）最後に、高村外相より、日本政府として明年カルデロン大統領へ正式に訪日を招待する旨述べた。一方エスピノサ外相は、福田総理にメキシコを公式訪問するよう、招待した。
（ハ）甘利経済産業大臣との会談で、エスピノサ外相は明年４月にメキシコで開催される第４回日墨ＥＰＡ合同委員会において新たなビジネス機会の開拓、特にメキシコの農産品を更に日本市場に送り込むことを提案した。両者は、日本の対メキシコ投資の重要性、並びに日本の対メキシコ投資によるメキシコ経済及びメキシコから第三国への輸出への貢献を認め、また日本企業がメキシコに引き続き投資を行うための適切なビジネス環境、及び国家インフラ計画のようなイニシアティブの役割について指摘した。
（ニ）緒方ＪＩＣＡ理事長との会談では、緒方理事長より、ＪＩＣＡとして協力できる分野があるため、メキシコの極度の貧困地域における支援プログラムを継続していく旨表明された。また、第三国、特に中米諸国に対する協力を引き続き強化し、自然災害時の支援、復興活動における両国関係を深めていくことへの関心を示した。
（ホ）衆参両院議長との会談では、日墨間に伝統的に存在する友好関係、及び両国が二国間関係に与える重要性が指摘された。また、そのために議会外交が果たした重要性が認められた。
（ヘ）なお、全ての会談において、エスピノサ外相は、先般のタバスコ州及びチアパス州での洪水に対する日本の支援及び連帯の姿勢に対し、メキシコ国民及び政府を代表して謝意を述べた。

２．アモリン伯外相のカルデロン大統領表敬
２８日、カルデロン大統領は、大統領官邸にて、アモリン伯外相の表敬を受けた。
（１）表敬において、「ア」外相はカルデロン大統領へ、カルデロン大統領の国賓としてのブラジル訪問を正式に招待する旨の内容を盛り込んだルーラ大統領発親書を手交した。これに対しカルデロン大統領は謝意を述べ、明年後半にブラジル訪問を実現することへの関心を表明した。
（２）カルデロン大統領は、両国関係を引き続き緊密なものにしていくことへの個人的な関心を繰り返し述べた。
（３）一方、カルデロン大統領は、タバスコ州及びチアパス州における水害の被災者に対し示されたブラジル国民及び政府の連帯の意思への謝意を述べた。
（４）両者は、墨伯両国間の現状、具体的には両国間の貿易及び文化協力の重要性について意見交換を行った。また、ルーラ大統領が二国間関係促進のために８月にメキシコを訪問したことの重要性につき、意見が一致した。
（５）最後に、両者は墨伯両国がラ米・カリブ地域において優先的に考えている外交政策について話し合った。

目標

ホーム

一月前