在メキシコ日本国大使館

政務班

2008年1月のメキシコの内政・外交の概要

＜概要＞
　内政では、社会開発大臣及び内務大臣の交代及びそれに伴う大統領府の改編があった他、全国公安評議会が開催された。
　また外交では、コロン・グアテマラ大統領の就任式に出席したカルデロン大統領が、コロン新大統領の他、コレア・エクアドル大統領、オルテガ・ニカラグア大統領、ウリベ・コロンビア大統領と会談を行い、またチャベス・ベネズエラ大統領とは立ち話を行なった。また、メキシコ大使会議が開催された。

＜クロノロジー＞
１日　　国防省、省内に人権局の設置を発表。（内政・治安）
２日　　制度的革命党（ＰＲＩ）、民主革命党（ＰＲＤ）及び結集党の議員、政府がＮＡＦＴＡの農産品（トウモロコシ、豆、砂糖及び粉ミルク）関税撤廃に対する農民の要求に耳を傾け、見直しを図らなければ、農村部での「社会的爆発」が起こる恐れがあると警告。３日、サバレタ連邦下院議長、ＮＡＦＴＡの関税撤廃による国内農作物への影響を緩和するための国内産業の擁護に、メキシコ連邦上下院が共同戦線の形成を呼びかける。同日、カルデナス農牧相、２００８年はＮＡＦＴＡの農産品関税撤廃によりメキシコにとって厳しい年となるが、逆に北米の「洗練され、かつ重要」な市場にメキシコ製品を送り込む機会でもあると述べる。同日、ロペス・オブラドール元大統領候補（以下：ＡＭＬＯ）、ＮＡＦＴＡの農産品関税撤廃はこれまで以上に国内経済に損害を与えるとコメント。４日、連邦議会常設委員会、米国及びカナダに対するＮＡＦＴＡの農産品項目の見直しの是非を巡り、農民側の代表と話し合いの席を設けるべきであると勧告。５日、カルデナス農牧大臣、農民団体に対し、１０日にＮＡＦＴＡに関する対話の席を設けると呼びかける。６日、カトリック教メキシコ司教区、仲介業者を介さない農産品の販売を検討。８日、ナバレテＰＲＤ上院会派長、ＰＲＩと共にＰＡＮにＮＡＦＴＡの農産品の関税自由化に関する再議論及び米国との相互貨物往来の再折衝、移民問題についての議論を求めると発表。１７日、メキシコ司教会議（Conferencia del Episcopado Mexicano）、農牧省にＮＡＦＴＡ農産品に関する項目の再交渉を求める。２８日、カルデナス農牧相、ＮＡＦＴＡの農産品関税撤廃反対の対話で、北米からの穀物や畜産品、牛乳輸入量を減らし、国内産業を保護しようとすれば、一次産品の価格高騰に繋がると警告。３１日、メキシコ市でＮＡＦＴＡの農産品関連項目の見直しを求め、全国から集結した農民らがデモ行進。死者１名、トラクター１台炎上。カルデナス農牧相、滞在先のトラスカラ州で、農民との話し合いの用意があると述べる。（内政・外交・治安）
３日　　米国内各州で反移民法案が増加。法案が成立または審議中である都市は全国で１８州３９都市に上る。（外交）
５日　　パレデスＰＲＩ党首、ＰＲＩが選挙で勝利したければ、先住民、若者、畑で働く女性、集団農場の農民、小農民、小地主を支援しなければならない、と支持層の強化を訴える。（内政）
７日　　米国からメキシコへの武器の密輸が増加している、と連邦上院外交委員会の報告書。米国内で効果的な購入や転売の規制を含む徹底的な戦略が必要であるとも。また米国からメキシコへの武器の密輸は、メキシコ国内を中心として活動する麻薬組織の武装強化に繋がっていることを指摘。（内政・治安）
７－８日　　在外公館に勤務するメキシコ大使、総領事を集めたメキシコ大使会議が開催される。連邦上院及び下院の両議長、同会議の席上、今年中に議会でエネルギー改革が成立する見通しであると述べる。同改革はエネルギー部門での競争力強化に重点を置くとも。
（内政・外交）
７日　　タマウリパス州リオ・ブラボ市で、現地警察が追跡中であった不審車両からの銃撃を受け、市街地に逃げ込んだ麻薬組織との間で銃撃戦が発生、麻薬組織構成員３名が死亡、１０名が逮捕される。事件発生に伴い、治安機関は一時的に、リオ・ブラボ市の出入口などの街道に検問を設置。８日、同州レイノサ市において麻薬組織のものと見られる車両を追跡していた連邦調査機関（ＡＦＩ）の車両が銃撃を受け、警察官２名が死亡。その後、ＡＦＩ等が市内を捜査、軍がレイノサ市と隣接するヌエボ・レオン州モンテレイ市を結ぶ街道などで検問を実施。（治安）
８日　　オルテガＰＲＤ前代表離任に伴う進歩主義包括戦線（ＦＡＰ）の新代表に、ＰＲＤ所属のポルフィリオ・ムニョス・レド元ＥＵ大使が選出される。２００９年の中間選挙での連合を否定していた結集党も、ＦＡＰを通じてＰＲＤ及び労働党との連合再考の可能性を示唆。１０日、ＰＲＤ執行部、代表選出方法に疑問を呈する。同日、ＡＭＬＯ、８日に開催されたＦＡＰの会合の際、２０１２年の大統領選挙に出馬する用意があると述べたことが明らかに。ＡＭＬＯは「自分には尊厳があり、今回が最後の出馬である」とも。（内政）
８日　　国家人民住宅信託基金（Fideicomiso Fondo Nacional de Habitaciones Populares）の新総裁にロペス元ミチョアカン州知事候補が決定。サバラ社会開発相からの引き継ぎ。（内政）
８日　　パティニョ公共治安省警察機関戦略次官、今年の組織犯罪対策は、これまでの監視、抑止力から標的を絞った「捜査と攻撃」作戦で首領を崩す方向に切り替えたことを発表。（治安）
９日　　国立宮殿において、第２２回全国公安評議会（Consejo Nacional de Seguridad Publica）が開催される。（内政・治安）
９日　　通信運輸省及び連邦検察庁、自家用機からの麻薬押収が増加していることを鑑み、中南米発メキシコ着の私用飛行機について、メキシコ南部にあるコスメル、チェトゥマル（いずれもキンターナ・ロー州）及びタパチュラ（チアパス州）の3空港に着陸させ、検査後各々の目的地に向かわせる掃討作戦を実施する旨発表。早ければ3月にも実行に移される。（治安）
９日　　ゴメス＝ジャノス・チアパス州検察長官、シナロア・カルテルのマネー・ロンダリングに加担していたとして、客年１２月から米財務省がマークしていたことが明らかに。（治安）
１０日　　メキシコ連邦治安当局及び米国特別機動隊（ＳＷＡＴ）が、共同で「ロス・セタス（Los Zetas）」の包囲網を共同で展開していると報道。主たる活動目的は、タマウリパス州内に逃亡していると見られるロス・セタスのリーダーの逮捕。１３日、公共治安省、湾岸カルテルの殺人請負集団「ロス・セタス」に対する作戦を実施、コアウイラ州及びカンペチェ州で計３０名を逮捕。コアウイラ州の５名は地元警察官。（治安）
１１日　　バハ・カリフォルニア州ティファナ市リベルタ地区で、米国（国境警備隊と見られる）からメキシコに対する催涙ガス弾が発射される。墨外務省、国境を巡る状況に関し墨米両国間に存在する建設的理解及び協力の雰囲気に全く資することのないものであると抗議する旨のプレスリリース発出。（外交）
１３日　　連邦両院の国民行動党（ＰＡＮ）及びＰＲＩ議員、石油の採掘、生産、天然ガス採掘権の民間への開放を含むエネルギー改革の推進に向け、交渉を始める。１４日、ＡＭＬＯ、エネルギー部門の民営化について、カルデロン大統領、モウリーニョ大統領府長官、ラリオス連邦下院ＰＡＮ会派長及びレジェスメキシコ石油公社（ＰＥＭＥＸ）総裁と直接話し合いを求める旨発言。１５日、ＡＭＬＯの話し合いを求める発言につき、ＰＡＮ所属議員は「ただ単に注目を集めたいだけだ」という意見で一致。出席には応じない方向。１５日、ゴンサレス連邦下院ＰＲＤ会派長、政府は国民をだまそうとしていると、メキシコ石油公社（ＰＥＭＥＸ）の民営化に反対の姿勢を示す。同日、ＡＭＬＯが求めた話し合いに対し、ラリオス連邦下院ＰＡＮ会派長及びガンボア連邦下院政策調整委員長は拒否。１７日、連邦上院ＰＲＤ所属議員、ＰＥＭＥＸの救済及び近代化のために、民間に依存する必要はないと明言。一方、連邦下院のＰＡＮ及びＰＲＩ所属議員、２月からの国会春期通常会期内でエネルギー改革を推進する予定であると述べる。１７日、連邦議員１７０名、ガソリン及びディーゼル価格の上昇は、基本食品の価格上昇にもつながったとして、最高裁に対し、ガソリン及びディーゼル価格上昇の非合法性を問う申し立てを行う。１８日、進歩主義包括戦線（ＦＡＰ）、ＰＥＭＥＸ及び中央電力公社（Luz y Fuerza del Centro）の民営化に関するＰＡＮ及びＰＲＩのいかなる動きも阻止すると言明。２２日、ＰＲＩ、エネルギー改革に関し、カンクン市で集会を行い、ＰＥＭＥＸの民営化に反対する一方、憲法改正を伴わない範囲で、財政面などの改革を実施し、財政の健全化、近代化及び競争力の強化を進める目的で法律の検討を行うことで一致。（内政・経済）
１３～１４日　　カルデロン大統領、コロン・グアテマラ大統領の就任式のため、同国を訪問、両者がバイ会談を行った他、コレア・エクアドル大統領、オルテガ・ニカラグア大統領、ウリベ・コロンビア大統領と会談を行い、またチャベス・ベネズエラ大統領と立ち話を行う。（外交）
１４日　　サバラ社会開発相が辞任。ＰＡＮ執行部政府関係局長（Secretaria de Relaciones Gubernamentales）に就任。後任にはエルネスト・コルデロ・アロヨ大蔵公債省歳出担当次官が任命される。（内政）
１４日　　ＰＡＮ、新執行部を承認。マンサネラ氏が副事務局長に。２１日、マルティネス党首、ＰＡＮ党中央執行部でエスピノ前党首と関係のある人物の解任を進める。ＰＡＮの情報筋によると、選挙、広報、財政運営、党内部強化の各部門で１１４名が交代。（内政）
１４日　　メトロポリタン地区（メキシコ市及びそれに隣接するメキシコ州の一部）で禁煙法が施行される。レストランや商業施設では、６ヶ月以内に分煙設備の設置が義務づけられている。（内政）
１４日　　連邦下院ＰＡＮ、ＰＲＩ及びＰＲＤ議員、連邦選挙機関（ＩＦＥ）評議員の選出に向け、話し合いを再開。ＰＡＮはベニート・ナシフ氏、エズラ・シャボット氏、ハシント・シルバ氏及びマウリシオ・メリーノ氏を推薦、ＰＲＩはマルコ・アントニオ・バニョス氏、フェルナンド・オヘスト・マルティネス氏を推薦、ＰＲＤはＰＡＮ及びＰＲＩの反対でヘナロ・ゴンゴラ最高裁判事を推薦することを断念し、ハイメ・カルデナス氏、コレンソ・コルドバ氏、ビルヒリオ・リベラ氏及びイルマ・エレンディラ氏を推薦。２６日、ＩＦＥ議長選出に関し、ゴンサレス連邦下院ＰＲＤ会派長、ゴンゴラ判事はＰＲＤのものではなく、国家財産であると述べる。（内政）
１５日　　ラミレス内相、内務省関係者と会合を行い、辞任の意向を伝えた後、大統領府を訪れ辞表を提出。１６日、カルデロン大統領は大統領府にてラミレス内相及びモウリーニョ大統領府長官同席の下、ラミレス内相の辞任を発表し、モウリーニョ大統領府長官が新内相に任命される。モウリーニョ内相、今次内務大臣就任は２０１２年の大統領選出馬の布石であるとの噂を否定。１７日、モウリーニョ内相、マルティネスＰＡＮ党首と会談。同日、ゴンサレス連邦下院ＰＲＤ会派長、モウリーニョ内相と電話による接触があったと述べる。他方ナバレテ連邦上院ＰＲＤ会派長は電話を拒否。１８～２８日、モウリーニョ内相、カルステンス大蔵公債相、ベガ公共行政相、パレデスＰＲＩ党首、ベニェ社会民主主義代替党党首、ソホ経済相、カルデナス農牧相、カワジ（Kahwagi）新同盟党党首と相次いで会談。２８日、サバレタ連邦下院議長と会談したモウリーニョ内相、エネルギー改革については、未だ議会に提出すると決めていないと発言、一方で労働改革及びＮＡＦＴＡについては言及がなかったと報じられる。また内閣及び立法府の自治性を互いに尊重することを承認。２９日、ＡＭＬＯ、サバレタ連邦下院議長がモウリーニョ内相と会談したことについて「無防備な者を政治的に利用しようとしている（le agarra la pierna a todo el que se deje, politicamente hablando）」とコメントしたのに対し、サバレタ連邦下院議長、「大統領にもなる可能性がある政治家がこのような発言をするのは不可解であり、このコメントを聞くにＡＭＬＯは食堂の喧嘩早い人（buscapleito de taberna）に成り下がった。」と反論。３０日、サバレタ連邦下院議長の発言に対し、ＡＭＬＯ、「無防備な者を利用しているのはサバレタ連邦下院議長のことではなく、モウリーニョ内相のことである」と釈明。３１日、ＡＭＬＯの発言に対し、ＰＡＮ連邦下院議員、サバレタ連邦下院議長を擁護。（内政）
１６日　　ＡＭＬＯ派のＰＲＤ議員、同派のエンシーナス前メキシコ市長が党首選挙に敗北した場合、ＰＲＤを離党し、新党結成の可能性があると述べる。１７日、ＰＲＤ党員、ＰＲＤの内部崩壊及び新党結成を画策したとして、結集党所属のデルガド連邦上院議員を非難。同日、ＰＲＤ党首選挙を巡り、２６名の上院議員の内１６名がオルテガ候補支持を表明。（内政）
１７日　　アルボＩＦＥ議長、連邦下院の各党と会合、先般改正された連邦選挙法に従い、同機関が新たなる権限を行使できるよう支持を求める。また、運営面での組織改編を含む早急な活動をとることを表明。１８日、ＩＦＥ評議員、ＩＦＥ会計検査部の新設に際し、ＩＦＥの任命は不適切であるとして、連邦下院の推薦に委ねることを決める。（内政）
１８日　　ミチョアカン州及びオアハカ州の教職員組合員約４００名、ＩＳＳＳＴＥ法廃止を求め内務省庁舎に詰め寄り、警護隊と衝突。（内政）
２０日　　連邦予防警察、バハ・カリフォルニア州ティファナ市内に同州を中心に活動するアレジャノ・フェリックス兄弟カルテルの殺し屋養成所を発見。（治安）
２１日　　シナロア・カルテルのリーダー、ホアキン・「チャポ」・グスマンの工作員であるアルフレド・ベルトラン・レイバ（Alfredo Beltran Leyva）、シナロア州クリアカン市で逮捕される。（治安）
２１日　　カルデロン大統領、「持続可能な住宅開発国家プログラム２００７－２０１２（Programa Nacional para el Desarrollo Habitacional Sustentable 2007 y 2012）」を発表。（内政・経済）
２１日　　カルデロン大統領、モウリーニョ内相の大統領府長官職離任に伴う大統領府の新人事を発表。大統領秘書官には、ナバ大統領秘書官が留任、大統領と公共部門、民間部門及び社会部門の個人及び団体との政治的関係の管理を担う。加えて、大統領の会合、イベント及び外遊の企画と実行を引き続き担当する。他方、社会通信調整には、コルタサル大統領府社会通信調整官（報道官）が留任。大統領府長官には、ルイス内閣・特別企画調整官を任命。顧問調整、戦略・政府公報調整、世論調整、内閣・特別企画調整、及び運営調整を担当する。２２日、カルデロン大統領、大統領府の新人事を発表。戦略・政府広報調整には、ソタ（Alejandra SOTA MIRAFUENTES）大統領府イメージ・世論調整官を任命、大統領演説、大統領のイメージ及び政治分析を担当する。また、運営調整にはフローレス（Patricia FLORES ELIZONDO）運営調整官が留任した。同部署は、大統領府の人的・物的・財的資源の管理運営を担当する。２５日、カルデロン大統領、大統領府の人事異動を発表。顧問調整官にはビバンコ（Antonio VIVANCO CASAMADRID）氏を任命。大統領が委任する事項に関し顧問を提供する任務を負う。また、世論調整にはヒメネス（Rafael GIMENEZ VALDES）氏を任命。同氏は、連邦政府の関心事であるテーマに関する意見の分析を担当する。２８日、カルデロン大統領、大統領府司法顧問に、アレッシオ（Miguel Alessio Robles）前内務省司法・人権担当次官を任命。（内政）
２２日　　連邦警察当局、メキシコ市内３ヶ所で捜索を実施、麻薬組織シナロア・カルテルの構成員１１人及び武器を押収。（治安）
２２日　　タマウリパス州レイノサ市、マタモロス市及びヌエボ・ラレード市で軍が地方警察を捜査。（治安）
２３日　　緑の党関係者、日本大使館前で反捕鯨デモを実施。（内政・外交・治安）
２４日　　カルデロン大統領、モレリア（ミチョアカン州）－サラマンカ（グアナファト州）の高速道路開通式の席上、「２００８年幹線道路保全プログラム（Programa de Conservacion de Carreteras 2008）」の実施を発表。４万５００㎞の幹線道路及び、少なくとも２００の陸橋の保全を目的とし、１００億ペソの資金を投入する。本計画により、全国の国道の８５％が「満足な状態」に達するであろうと試算。（内政・経済）
２４日　　訪墨中のジョンソン米内務省国際麻薬犯罪・検察担当次官、ブッシュ米大統領が２月４日に２００８年１０月１日からの２００９年度予算案にメリダ・イニシアティブ向けの追加資金の申請を議会に提出する見込みであると述べる。第一期メキシコ・中南米麻薬対策資金として議会に提案している５億５千万米ドル及び残りの８億５千万米ドルは未だ議会で未承認。（外交・治安）
２４日　　エスピノサ外相、第１３回カリブ諸国連合（ＡＣＳ）閣僚会議に出席。貿易面で重要な５つの活動について述べた他、統合を最大限可能にする企業家文化の形成の重要性、また国際輸送に関し、航空・海上連結を拡大すること、インフラ整備の重要性を認識している旨強調。（外交）
２５日　　マグレゴール（Ricardo McGregor）メキシコ市司法警察参謀局長、突然の辞任を発表。シナロア・カルテルとの関係容疑によるメキシコ市及び連邦当局の捜査開始と時期が一致。２６日、エブラール・メキシコ市長、マクグレゴール前参謀局長の辞任は麻薬組織との関係によるものではないと擁護。２９日、マグレゴール前参謀局長、両替商で、シナロア・カルテルのマネー・ロンダリング容疑で連邦検察庁に身柄を拘束されている、通称「エル・ピリ」（Pedro Alfonso Alatorre Damy, “El Piri”）の護衛をしていたと連邦関係筋が明らかに。（治安）
２５日　　台湾「政府」、メキシコ政府が中国との関係悪化回避のために、台湾で開催の「新民主主義グローバル・フォーラム」にフォックス前大統領の出席見送りに圧力をかけたと非難。台湾「政府」によるメキシコ政府への非難はこれが二度目。メキシコ政府は中国のみと国交を樹立している。２６日、フォックス前大統領、フォーラム出席は見送るも、インドネシアで中国共産党関係者と会談を行う。（外交）
２５日　　　ＰＲＤ連邦下院議員、２月からの連邦議会春期通常会期において、エネルギー改革、連邦選挙機関（ＩＦＥ）の評議員交代、司法改革につきＰＡＮ及びＰＲＩのいかなる企てをも防ぐため、議会でより強硬な姿勢を示すことで一致。（内政）
２６日　　軍特別部隊及び連邦予防警察、ポサーダス枢機卿及びティファナ・カルテルの元殺し屋ボスの殺害容疑で通称「エル・ポパイ」（Alfredo Araujo Avila “El Popeye”）を逮捕。（治安）
２７日　　内務相の交代に伴う内務次官人事発表される。異動となった６名のうち、ダニエル・カベサ・デ・バカ前連邦検察庁長官及びアナ・テレサ・アランダ元社会開発相の２名がフォックス政権時の閣僚。日系人のアブラム・ゴンサレス・ウエダ内務筆頭次官は唯一留任。（内政）
３０日　　カルデロン大統領、副都心３号線の公開入札を発表。第一期はＡ号線ラ・パス駅－チャルコ間（１３，２㎞）を、第２期はＡ号線ラ・パス駅－Ｂ号線ネサワルコヨトル駅間（１７．２㎞）を結ぶ。公共（６０％）・民間合わせて５５億ペソの投資により、２０１０年の開業を目指す。（内政・経済）
３０日　　タバスコ州内での洪水被害者への基礎食料品の配給が終了。（内政・治安）

＜内政・治安＞
１．社会開発大臣の交代
（１）サバラ社会開発相は１３日、カルデロン大統領に辞表を提出した。コルタサル大統領府報道官は、辞表が翌１４日に受理されたと発表した。当地各紙報道によれば、１１日、サバラ社会開発相はカルデロン大統領と会合を持ち、その後マルティネスＰＡＮ党首がサバラ社会開発相にＰＡＮ執行部入りを勧めた。
（２）１４日夜、ＰＡＮの新執行部が承認され、人事が発表された。サバラ社会開発相は、ＰＡＮの政府関係局長（Secretaria de Relaciones Gubernamentales、党とＰＡＮが指揮する地方政府との政治的及び制度的関係を担当する）、及びＰＡＮ政務委員会（Comision Politica）委員に任命された。また、サバラ社会開発相はユカタン州選出の連邦上院議員としての活動を再開する。
（３）１５日、大統領府において、カルデロン大統領及びサバラ社会開発相同席による新社会開発相の任命式が実施された。後任には、エルネスト・コルデロ・アロヨ大蔵公債省歳出担当次官が任命された。新大臣は修士時代にカルデロン大統領と共にメキシコ自治工科大学（ＩＴＡＭ）で学び、カルデロン大統領がエネルギー大臣だった際には次官を務めており、親交も深い。なお、カルデロン大統領の選挙戦においては、公共政策担当としてカルデロン大統領の当選に寄与した。

２．内務大臣の交代
（１）１５日、ラミレス内相は内務省関係者と会合を行い、辞任の意向を伝えた後、大統領府を訪れ、辞表を提出した。１６日、カルデロン大統領は大統領府にてラミレス内相及びモウリーニョ大統領府長官同席の下、ラミレス内相の辞任を発表し、モウリーニョ大統領府長官が新内相に任命された。
（２）ラミレス内相の辞任は、麻薬組織との戦いの泥沼化、昨年７月に発生したＰＥＭＥＸパイプライン爆破事件の際、内務省の管轄組織である国家安全調査局（ＣＩＳＥＮ）の初動の遅れ、財政改革やタバスコ州で洪水が発生し始めた時など、重要な局面で不在であったこと、９月１日の大統領教書提出時、大統領府及び内務省の下にある情報・特別番組制作センターが「カルデロン大統領は正当な選挙で大統領に選出されたが、その正統性には多くの国民が疑問を抱いている」というサバレタ下院議長の発言の部分を生放送でカットした際、「技術的問題」と発言して野党側から検閲をしたと非難されるなど、野党からの批判は絶えなかったこと、そして知名度の低さに起因すると見られる。当地主要紙は、１１日から大統領府ではラミレス内相の辞任が囁かれていた、と報じている。
（３）なお、ラミレス内務相はサバラ前社会開発相のようにＰＡＮの党執行部に移るわけではなく、さらにカルデロン大統領からチリ大使或いは独大使のポストを勧められたが、これを断った。
（４）モウリーニョ新内相は、従来よりカルデロン大統領の右腕とされ、大統領府長官時代には幅広い人脈と人柄で他党との「交渉役」「火消し役」となっていた。就任式典では、他政党との話し合いを呼びかけており、政権運営を容易にするための交渉を今後も行っていく姿勢を見せた。

＜外交＞
１．カルデロン大統領のコロン新グアテマラ大統領就任式出席
カルデロン大統領は、１３～１４日の日程で行われるコロン大統領就任式に招待され、グアテマラを訪問し、以下の通り二国間会談を行った。
（１）コロン新グアテマラ大統領（１４日）
（イ）両首脳は、両国関係の現状を確認し、また全てのレベルにおける建設的、効果的政治対話を通じ、両国間で築かれている素晴らしい友好協力関係の絆を更に強化していくことを確認した。
（ロ）両首脳が扱った主な議題は、国境地域の統合的発展、移民現象への対応、人間開発、二国間及び地域レベルでの安全保障及び司法制度、並びに両国間での貿易、投資及び観光の強化であった。これらについて両首脳は、大統領就任式終了後に両国が促進する具体的行動につき明らかにする旨述べた。
（ハ）カルデロン大統領はコロン大統領に対し、新政権が成功を収め、グアテマラ及び周辺各国に裨益することを祈念した。
（２）コレア・エクアドル大統領（１４日）
（イ）今次会談は両首脳による初会談であった。両首脳は、両国間の友好協力の絆を強めることで合意し、貿易・投資分野に関し、両者は両国間の貿易関係を深化させるための機会を明らかにするため、エクアドルからメキシコへ代表団を派遣することで合意した。また、両首脳は、４月にメキシコで開催予定の第３回太平洋岸ラテンアメリカフォーラムの実施に向けて両国政府が協力していくことへの関心を表した。さらに、二国間及び地域レベルでの移民現象に関する協力・対話を強化することで合意した。
（ロ）カルデロン大統領はコレア大統領の求めに応じ、自然災害への対応及び文民保護に関しメキシコの経験を共有するための代表団のエクアドルへの早期派遣を申し出た。
（ハ）コレア大統領は、カルデロン大統領によるメキシコ訪問の招待を受け入れた。
（３）オルテガ・ニカラグア大統領（１４日）
（イ）両首脳は、両国間の友好連帯関係を引き続き強化し、また二国間の様々な分野における協力を拡大することへの政治的意思を述べた。
（ロ）昨年６月のオルテガ大統領訪墨時の合意事項に関し、オルテガ大統領はカルデロン大統領に対し、ニカラグアにおける道路改修・改善事業に見られる進展、及びサンホセ協定に基づくメキシコからの３５０台のバス購入のための財政支援に関し、謝意を述べた。
（ハ）オルテガ大統領はカルデロン大統領に対し、本年ニカラグアを訪問するよう招待した。
（４）ウリベ・コロンビア大統領（１４日）
（イ）両首脳は会談において、地域の政治情勢、二国間貿易深化、プエブラ・パナマ計画（ＰＰＰ）再構築プロセス、及びメキシコで４月に開催予定の第３回第３回太平洋岸ラテンアメリカフォーラムにおける太平洋岸諸国の協力・対話強化を始めとする様々なテーマについて話し合った。
（ロ）両首脳は、昨年１１月に予定されていたカルデロン大統領のコロンビア訪問につき、再調整を行うことで合意した。
（ハ）カルデロン大統領はウリベ大統領に対し、今月１０日、ＦＡＲＣに誘拐されていた人質２名が解放されたことについて満足の意を示し、また残りの人質の解放、及びコロンビアにおける和平プロセス進展に向け、メキシコ政府としてコロンビア政府をしっかり支援する旨繰り返し述べた。さらにカルデロン大統領はＦＡＲＣに対し、残りの人質を解放するよう訴えた。
（５）チャベス・ベネズエラ大統領（立ち話、１４日）
（イ）両首脳は石油、コロンビアのゲリラ、及び２００５年にチャベス大統領がフォックス前大統領を「帝国の犬」呼ばわりして以降約２年間（双方の大使召還により）臨時代理大使の派遣に留まっていた両国関係再活性化の必要性等につき話し合った。
（ロ）メキシコ大統領府の情報筋によれば、立ち話は丁重だが短時間のものであり、両首脳は二国間関係強化、ラテンアメリカ経済、及びエネルギー問題について話し合った。

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