政務班

2008年12月のメキシコの内政・外交の概要

 

内政では、連邦議会が秋期通常会期終了を迎え、会期終了に駆け込みで治安に関わる法案の一部を可決した。また、昨年誘拐され行方不明になっていたシルビア・バルガス氏が遺体で発見された。

 外交では、カルデロン大統領がブラジルで開催された第一回ラテンアメリカ・カリブ首脳会合に出席した他、エスピノサ外相がフランスおよびポルトガルを訪問した。

 

<クロノロジー>

1.治安に関する法案の可決

4日  連邦下院で「全国国内携帯電話利用者登録(Registro Nacional de Usuarios de Telefonia Movil del Pais)」通過。一部修正が加わったため、再び下院に差し戻し審議される。これが可決すれば、プリペイド携帯、契約携帯共に、利用者登録、住所登録および電話機・SIMカードの登録が必要となる。これにより、犯罪に利用された携帯の情報提供が義務づけられる。

11日  連邦上院、9日に連邦下院で可決された誘拐を連邦犯罪とし、法律を制定できるよう、憲法第73条の改正を賛成97票、反対・棄権0票で可決した。今後同案は各州議会で議論され、16州以上での承認を待つ。

11日  連邦下院、9日に連邦上院で可決された国家体制法の修正を賛成221票、反対104票、棄権1票で承認し、同法を可決、成立。官報掲載のため、行政府に送られた。

 

2.誘拐・行方不明者の発見

5日  メキシコ市南部トラルパン区の家宅敷地内から、昨年より誘拐され行方不明になっていたシルビア・バルガス氏のものと見られる遺体を発見。

11日  連邦検察庁(PGR)、発見された遺体はシルビア・バルガス氏本人であることを確認したと発表。両親も、「シルビアは神と共にいる」と、PGRの見解を受け入れる。

 

3.その他

3日(〜5日)  エスピノサ外相、フランスおよびポルトガルを訪問。パリで開催された「ラテンアメリカと首脳級外交(America Latina y la diplomacia de las Cumbres)」セミナーに出席し、リオ・グループの議長国として同グループの見解を報告した他、レビット仏大統領外交顧問と会談。また、ポルトガルではアマード・ポルトガル外相と会談。

4日(〜5日)  リチャードソン米国ニューメキシコ州知事(米次期商務長官)、プエブラ州及びモレロス州を訪問。デルベス・ラス・アメリカス大学学長(前外相)の招待により、プエブラ州において1時間半にわたり企業家グループと意見交換。その後、モレロス州クエルナバカ市に在住の母親を訪問。5日、モレロス州クエルナバカ市でアダメ・モレロス州知事と会談を行う。

4日  国防省のデル・レアル(Javier del Real Magallanes)大将、現役軍人として初めて公共治安次官に任命される。戦略・警察諜報次官を務め、同ポストにいたロサス(Facundo Rosas)次官は予防・調整・人権次官にスライドした。デル・レアル大将は、2007年のヌエボ・レオン州−タマウリパス州の掃討作戦の主導者の一人。

5日  「レフォルマ」紙の2009年中間選挙に関するアンケート調査結果によれば、もし今日が投票日であったらどの政党に投票するかとの質問に39%(前回36%)が国民行動党(PAN)と回答。以下、制度的革命党(PRI)(36%、前回37%)、民主革命党(PRD)(16%、前回18%)、緑の党(3%、前回3%)、新同盟党(3%、前回2%)、結集党(2%、前回2%)、労働党(1%、前回2%)。

8日  カルデロン大統領、11月の航空機事故でモウリーニョ内相とともに死亡したサンティアゴ・バスコンセロス元公共治安省(SSP)次官が事故時に務めていた内務省治安および刑法に関する憲法改革推進(Secretaria Tecnica para la Implementacion de las Reformas Constitucionales sobre Seguridad y Justicia Penal)担当顧問にボレゴ(Felipe Borrego Estrada)連邦下院議員を指名。

8日  エブラール・メキシコ市長、2012年大統領選挙出馬に意欲があることを示す。

11日  連邦議会秋期通常会期終了。

11日  コアウイラ州議会、全国で死刑制度を適用するよう憲法第14条および第22条の改正を求める法案を連邦下院に提出。

11日  モンレアル連邦上院議員、PRDを離党し、労働党に入党。

11日  国家人権賞(Premio Nacional de Derechos Humanos)で妻の授賞式に同席したアレハンドロ・マルティ氏、死刑制度について「後々法整備をできるよう、先ずは無処罰の体質を改善することがより重要である」と述べた。また、同授賞式に出席していたレジェス・チワワ州知事は、死刑制度に関する議論の推進に賛成の意を示す。

12日  オルティス連邦最高裁長官、第2回年次報告を発表。

15日  PRD、連邦選挙機関(IFE)に対し、結集党と労働党がPRD抜きにして進歩主義包括戦線(FAP)の名を使用して選挙活動を行わないよう求める。FAPはPRD、結集党と労働党の3党の連合に対して使われるものであり、2党のみの連合にFAPの名を使用することはできないと主張。

16日(〜17日)  カルデロン大統領、ブラジルで開催の第一回ラテンアメリカ・カリブ首脳会合に出席。リオ・グループ議長国であり、次回ラテンアメリカ・カリブ首脳会合開催国のメキシコは、次のステップとして、ラテンアメリカ・カリブ首脳会合およびリオ・グループが共同で仮に「ラテンアメリカ・カリブ連合(Union Latinoamericana y del Caribe)」と名付けられた枠組の中で総合的に結束していくことを発言。

17日  公共行政省、故モウリーニョ内相の飛行機事故に関連し、航空機事故の原因解明のためフライディーニ(Carlos Algredo Juraidini)内務省購入・保管・目録課長(director de Adquisicion, Alamcenes e Inventarios)を離職させる。

18日  ベタンクール元コロンビア大統領候補、訪墨。

22日  ハリスコ州サポパン市で、銃器および多額現金を所有していた容疑で8名が逮捕。うち一人は2005年7月に逮捕されたフアレス・カルテルの工作員リカルド・ガルシア(Ricardo Garcia Urquiza, “El Doctor”)の兄弟、アンヘル・ガルシア(Angel Orlando Garcia)とその恋人で2008年のミス・シナロアであるスニガ(Laura Elena Zuniga Huizar)。

 

 
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