チアパス州ソコヌスコ地域小規模生産者支援計画
プロジェクトの概要
 

 メキシコは、2003年の統計によると経済の規模を表す国民総所得(GNI)が世界第10位であり、経済協力開発機構(OECD)に1994年に加盟しています。一人あたりの国内総生産(GDP)は約6,000ドル(2003年)で、OECDの開発援助委員会(DAC)の分類によれば、高中所得国に位置づけられています。これらのデータだけをみると、メキシコ国民は皆、比較的豊かな生活を享受しているように思われますが、メキシコ社会は階層間、地域間の所得格差が極めて大きく、2000年の調査によると人口の約10%、1千万人にのぼる人々が貧困ライン以下である(平均1日あたり1ドル以下で生活している)ことが分かっています。

 メキシコ南部のチアパス州は、所得水準では全国32州1連邦区の中で最も貧しい州です。
 そのチアパス州の最南部、隣国グアテマラとの国境沿いに位置するソコヌスコ地域は、日本からメキシコへの初めての移民として知られる榎本移民が到着した場所として、日本とのつながりが深い地域ですが、近年、同地域の主要産品であるコーヒー、カカオ、トウモロコシ、マンゴーなどの農産物の価格低迷によって、これらの農産物の生産に依存している地域内の多くの貧しい小規模生産者は、家計収入に大きな打撃を受けています。このような経済的困難が一因となり、豊かな生活を目指して生産年齢層の多くの男性がアメリカ、カナダ、メキシコ北部のアメリカとの国境地域などへ出稼ぎに行き、残された女性が家庭を守りつつ農業生産においても中心的な役割を担う家庭が増加しています。
このような地域の社会経済的変化に対応するため、日本政府はメキシコ連邦政府とチアパス州政府の要請に基づき、国際協力機構(JICA)を通じて2003年3月から3年間の計画で技術協力プロジェクト「チアパス州ソコヌスコ地域小規模生産者支援計画」を実施しています。
このプロジェクトでは、困難に直面している域内の村落住民が、自らを組織化して村落開発・生活改善活動を実施し、地域の行政機関がこれを技術面、資金面で支援するという、一見当たり前ながらこれまで十分に機能していなかったシステムを、その実行性や効果を実証しながら地域に定着させることを主な目的としています。そのために、ソコヌスコ地域の16市のうち4市をモデル市として選び、モデル市の村落開発支援行政を担う組織・人員に対する能力開発をおこなうとともに、彼らが村落を支援する際に役立つ情報を整備しています。また、各市で1つまたは2つの村落(4市で合計5村落)をモデル村落として選び、住民グループ(主に女性グループ)の実施する村落開発・生活改善活動を実際に現場で支援することを通じて、支援の手法を工夫・習得しながら、その効果を実証する活動を実施しています。

 

【日本人専門家による戦後日本の生活改善運動に関する行政機関職員への講義

 

【モデル村落で実施している改良かまど普及活動

 

モデル村落で実施している野菜栽培活動

 
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